「　リターナー
　　　　　　Returner　　　」

　恒例の月曜の定時日、今日は「リターナー」を観て来ました。

　これは、「ジュブナイル」の山崎貴監督が、アジアの人気スター・金城武、「ジュブナイル」でもヒロインを演じた鈴木杏、個性的実力派の岸谷五朗などを招いて撮った最新作。

　全ての始まりは２０８４年。
　人類は、異星からの謎の侵略者によって絶滅の危機に瀕していた。
　人々は、起死回生の一案として、最後の拠点となったチベットでタイムマシンを製作、侵略の始まる前に戻り、最初の侵略者を倒して後続を絶つ事を考案。戦闘の混乱の中で、少女・ミリが過去へと出発した。
　最初の侵略者が地球に降り立ったのは２００２年１０月２２日。
　そして、２００２年１０月１９日、横浜。
　運命が３人を引き寄せ・・・ドラマが始まる。
　
　今まで、日本映画のＳＦ特撮モノ、と言うと何だかショボイもの、と言う印象が強かったのだけど、この映画に関しては、そんな印象が殆どありません。
　勿論、ハリウッドのＳＦアクション大作とは予算からして桁違いだから、どうしても低予算故の限界を感じさせる部分はあるけれど、それをセンスと見せ方でカバーして作品にまとめる力、これは今までの日本映画になかったもののように感じます。
　ＳＦＸが得意な山崎監督なんだけど、今回の「リターナー」では意外にもＳＦＸを使用したカットは「ジュブナイル」より少ないのだとか。
　そう言えば、今度の映画の方が、俳優の芝居やアクションを多用している感じでした。

　主演は一応、金城武なんだけど、どう見ても本当の主役は鈴木杏。
　優等生の美少女、と言うイメージの彼女だけど、この作品では少女兵士を熱演。
　ガンアクションから、ワイヤーアクションを取り入れた格闘シーンをもこなす活躍を見せてくれます。
　無邪気な少女の表情から、死線をくぐり抜けたふてぶてしい兵士の表情、そして、美少女ぶりをかなぐり捨てたような夜叉のごとき殺気漲る表情まで、その演技の方も大したもの。
　この鈴木杏に較べると、金城武が大根に見えてしょうがなかったです。(^^;
　（実際、戦闘シーンでの金城武の間の抜けた表情と気合いの入らない声にはねぇ・・・「マトリックス」のキアヌといい勝負か(^^;）

　映像的にはなかなか見せる部分の多い本作ですが、気になるのは、他の作品の影響かな。
　「マトリックス」を思わせるシーンはかなり多いし、他にも「ターミネーター」「Ｅ．Ｔ．」、「Ｍ：ｉ-２」、「インディペンデンスディ」、それに「千と千尋の神隠し」・・・「マトリックス」さながらの”弾避け”を見せた「加速装置」は「サイボーグ００９」かな。
　ま、今回は「こんなことだって出来るんだ！」と言う姿勢と思って観られましたが、この辺り、実力は判ったから、今後はオリジナリティで勝負して欲しい所です。(^^;

　タイムトラベルを扱いながら、パラドックスに鷹揚な物語は「ジュブナイル」の延長線上にある感じ。
　全体的に描写は判り易さ優先、と言う感じで、正直、物足りない部分もかなりあります。
　甘口のオチの付け方や、押さえたエログロ描写を見ても、この映画、対象年齢は高校生辺りが狙いかな？
　（そう考えるとヒロインに鈴木杏を起用したのが判る）

　あと、気になったのはエンディング。
　懇切丁寧な伏線についてのネタばらしは、少々饒舌過ぎて長ったらしい。
　これを小気味よくまとめてくれれば後味すっきりしてた感じもあるんですが・・・それも監督の持ち味かな。(^^;
　（「ジュブナイル」もエピローグが妙に長かったし）

　（９月２日　ＷＭＣつきみ野にて）

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