ＬＯＶＥＲＳ

　月曜の定時日、定時で上がるのは無理だったのだけど、それでもちょっと早めに会社を上がり、みなとみらいで「ＬＯＶＥＲＳ」を観て来ました。

　これは、「あの子を探して」や、「ＨＥＲＯ」のチャン・イーモウ監督の最新作。

　　物語の舞台は唐の時代。
　力の衰えた朝廷に反旗を翻す「飛刀門」が勢力を伸ばしていた。
　その「飛刀門」の頭目を暗殺するよう命じられた、官史のリウとジンは、遊郭・牡丹房の売れっ子、シャオメイが「飛刀門」の重要人物であるとの情報を得て調査に乗り出すが・・・

　中国の歴史と文化を土台に、時に残酷なまでにリアルに、力強い映画作りをして来たチャン・イーモウ監督だけれども、国際市場に打って出た武侠映画、「ＨＥＲＯ」から、ちょっと、その作風が変わって来た感じがします。
　中国文化を土台にしている所は変わりないのですけれど、娯楽色と芸術性を高め、豪華絢爛、見た目に派手な映画作りを目指しているように思えます。

　この映画では、前作「ＨＥＲＯ」に続き、ＣＧとワイヤーを駆使したアクションが展開します。
　そのアクションは映像美を優先したもので、リアリティに乏しい部分が目立ちます。（特に”飛刀”は、マンガチックですらある）
　もっとも、「ＨＥＲＯ」に対しても、更に洗練された、その映像美と、活劇としての完成度の高さは大したもの。
　冒頭のチャン・ツィイーの舞踏もそうですが、後半にある竹林の中での、竹を使ったアクションのアイデアと、その映像には「やられた！」と言う感じでした。

　物語としては、「ＨＥＲＯ」が「羅生門」なら、これは「インファナル・アフェア」かな？
　（アンディ・ラウが出演しているので、余計、そう感じてしまうかも）
　もっとも、小細工は多いものの、肝心の人間ドラマの部分に深みを欠く描写はちょっと残念。
　「インファナル・アフェア」が持っていた重厚な人間ドラマ、そしてサスペンスを、チャン・イーモウ監督も、この顔ぶれであれば俳優だって形に出来た筈、と思うとちょっと勿体ないような気もします。

　（９月６日　ＷＭＣみなとみらいにて）

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