「恋に落ちたシェイクスピア」

　今年のアカデミー賞で、最優秀作品賞始め、主演女優、助演女優、脚本、美術、衣装、音楽と７部門を受賞した映画です。
　これで、監督賞などを受賞した「プライベート・ライアン」、
　外国映画賞と主演男優賞を受賞した「ライフ・イズ・ビューティフル」
　（「シン・レッド・ライン」は全部逃がした(^^;）
　と、今年のアカデミー賞受賞主要作品は全部観たなぁ。(*^^*)

　さて。

　「メイキング・オブ・『ロミオとジュリエット』」（わ、凄いネタバレ(^^;）と言える本作は、スランプに苦しむシェイクスピアが、身分違いの美女と出会い、その恋の様子を台本に反映して、名作「ロミオとジュリアット」が誕生する・・・と言うもの。

　シェイクスピアの恋の進展が、そのまま台本になり、それを男装の美女が、ロミオを演じる事で、シェイクスピアの言葉を彼女が語る･･･と言う、ちょっと倒錯した展開を巧みな脚本と演出で描く手法は、上手い、と思いました。
　「ロミオとジュリエット」を下敷きにし、台詞などは戯曲的（と言うか戯曲そのものか）であるのに対し、その演出手法は、カットバックを多用した映画ならではのもので、この辺りが高い評価を受けたのではないでしょうか。

　台詞には当然ながらシェイクスピアの作品からの引用が多く、シェイクスピアならではの名文句と、韻を踏んだ美しい言葉の流れ（英語は判らないんだけど、発音を聞いていても綺麗だな、と思う）には、感心しましたが、シェイクスピアの戯曲に造詣が深く、英語が判れば、もっと楽しめるんだろうなぁ・・・と、ちょっと残念に思いました。(^^;
　・・・そんな訳で、観に行く前に、少なくとも「ロミオとジュリエット」は読むなり、観るなりしておいた方が楽しめると思います。

　主演女優賞を取ったヴィネス・パルトロワは、パッと見、オバサン顔で、最初の印象はよくなかったのですが、短髪の男装姿はよかったですね。
　個人的には、あれで髭をとって欲しかったなぁ。(^^)

　物語としても、まぁ、元が「ロミオとジュリエット」だから、ハッピーエンドになる訳はない（恋愛ものとしては）んだけど、引いた伏線に決着をつけ、オチもきっちりつけたています。ま、最後の方は、「水戸黄門」的な決着ではある（観れば判る(^^;）のですが、そこへ向けて、ちりばめてあったパズルのピースが合わさるように、収まる所へ収まっていく終盤の展開は、本当に見事です。
　ラストシーンも、気持ちいい終わり方でした。

　と、言う訳で、高い評価にも納得でした。

　（５月１６日　横浜・相鉄ムービルにて）

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