「オーシャンズ１１」

　定時日の月曜、いつものように映画を観に行きました。
　今日の映画は「オーシャンズ１１」。

　「エリン・ブロコビッチ」と「トラフィック」がアカデミー賞に同時ノミネートされ、今やハリウッドＮｏ．１の監督となったスティーブン・ソダーバーグ監督の最新作は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ他による豪華キャスト競演のサスペンス映画。
　盗みのプロフェッショナルが仲間を集め、ラスベガスのカジノが保有する地下金庫から現金１億６千万ドルを強奪しようという物語。ちなみに、これは、フランク・シナトラ主演の映画、「オーシャンと十一人の仲間」のリメイクでもあります。

　主役のダニーが刑務所から出所し、仲間を集め、入念に現金強奪計画を練り上げる。
　そして、クライマックスの金庫侵入。
　これが、不思議なくらいドキドキせず、盛り上がらない。

　これは・・・ほぼ全員がプロフェッショナルで、ある意味、落ち着き払い、沈着冷静に、かつジョークを挟む余裕まで見せながら仕事を行っているから。
　確かに、その手際のよさと、狡猾なトリックには感心するけれど、映画としては、盛り上げる部分が欲しかったようにも思います。
　ただ、これは物語の方があまりにもスムーズに淀みなく進行するせいでもあります。
　ソダーバーグ監督、今回は、肩の力を抜いて、娯楽作に徹しているように見えるのですが、その手腕はやはり並ではなく、映画の中のプロフェッショナルたち同様、一流のプロフェッショナルらしさを見せています。
　その、あまりにもスムーズな展開が、妙な軽さと物足りなさを生んでいるようにも感じました。

　物語の内容も、娯楽作品らしく極めて軽い。
　登場人物の誰もが生活に苦しんでいる訳ではなく、今回の仕事に人生賭けているようなヤツはいない。
　狙われている金の方だって、カジノの金なのだから、いわば、「金持ちの遊び金」、なくなった所で、世の中に影響を与える事などありはしない。しかも、金には保険がかかっていて、盗まれたヤツだって、大して懐が痛む訳でもない。
　その為、映画はどうしてもゲーム感覚になり、犯罪映画にありがちな、ギラつくような欲望や、犯罪に走らざるに得ないような切迫感が感じられないのです。
　勿論、それは意識してやっている事だと思うのですけど。

　確かにキャストも豪華だし、舞台も派手。
　だけど、映画は奇妙に軽くてやたらとスムーズに流れ去ってしまい、キレの足りないラストと共に、観た後に物足りなさが最後に残りました。
　これだったら、同様に金庫破りを扱った「スコア」の方が、ずっと面白かったぞぉ。

　（２月１１日　ＷＭＣつきみ野にて）

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