ハッピーフライト
Ｈａｐｐｙ Ｆｌｉｇｈｔ
これは「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」の矢口史靖監督の最新作。
航空会社を舞台にした群像劇です。
羽田発ホノルル行きのＡＮＡ１９８０便。
このフライトで合否が決まる機長昇格訓練中の副操縦士、鈴木は、審査官の原田機長の厳しい視線に緊張しながら操縦席に座っていた。
その頃、客室では、初めての国際線乗務となった新人ＣＡの斉藤が、チーフパーサーの叱責を受けつつ、慣れない職場で右往左往していた・・・
これ、面白いです、すごく。
こんな風に、心躍る面白い映画は久しぶりだなぁ。
格納庫に眠る飛行機が動き出し、多くの人の手によって舞い上がる、その様々な工程をじっくりと描く序盤の展開、これに引き込まれます。
全日空の全面協力を得て、航空業務の裏舞台まで見せる、その描写は、協力がある故に嘘が描けず、これまでの矢口作品にあった、脱線ぶりは影をひそめましたが、この描写自体を監督自身が面白がっているのがよく判る描写です。
実際、これが本当に面白い。
パイロットやＣＡ、管制官と言った花形職業だけでなく、グランドスタッフやメカニック、運行管理者、さらにバードパトロールと言った裏方まで、きっちり画面に登場させて、その仕事ぶりを見せてくれます。
はらは、仕事柄、こうした仕事の段取りに興味を覚えてしまうせいもあるのでしょうけど、それを差し引いても、立派にエンターテイメントしていると思います。
ただ、やはりそこはプロの世界。
小ネタの笑える部分を仕込んではいますが、監督の持ち味のコメディにはし難い所を、そのプロの世界に初めて踏み込む新人を物語中心にする設定も上手い。
新人のドタバタぶり、プロならではの冴えた仕事ぶり、危機に至って発揮されるベテランの凄み、と、それぞれに見せ場を用意するのも見事なものです。
物語も見事なら、かなり豪華な俳優の頑張りも見事。
新人ＣＡを演じた綾瀬はるかのコメディエンヌぶりもいいし、副操縦士役の田辺誠一の二枚目半も適度に情けなくていい。
そして、チーフパーサー役の寺島しのぶは凄い迫力です。
エンディングで、それぞれの未来を見せた辺りも気持ちよいですね。
これは、いい映画です。
（１１月２１日 ＷＭＣつきみ野にて）
（作品データ）
■監督
矢口史靖
■出演
鈴木和博（副操縦士） ・・・ 田辺誠一
原田典嘉（機長） ・・・ 時任三郎
斉藤悦子（ＣＡ） ・・・ 綾瀬はるか
山崎麗子（チーフパーサー） ・・・ 寺島しのぶ
木村菜採（グランドスタッフ） ・・・ 田畑智子
高橋昌治（運行管理官） ・・・ 岸部一徳
（その他のキャスト）
吹石一恵 田中哲司 平岩紙 中村靖日 肘井美佳 森岡龍
正名僕蔵 入山法子 藤本静 佐藤めぐみ 長谷川朝晴
いとうあいこ 江口のりこ 宮田早苗 明星真由美 森下能幸
海老瀬はな 川屋せっちん 笹野高史 田山涼成 菅原大吉
竹中直人 木野花 ベンガル 小日向文世 柄本明
■コピー
ヒコーキ、飛ばします。
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