隠し砦の三悪人
ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＰＲＩＮＣＥＳＳ
これは、巨匠・黒澤明の傑作、「隠し砦の三悪人」を、「ローレライ」や「日本沈没」の樋口真嗣が監督してリメイクしたもの。
（オリジナルは、もう、５０年前の映画なんですねぇ）
ジャニーズの人気タレントの松本潤が主役、ヒロインは長澤まさみ。
他、椎名桔平に阿部寛と、キャストはなかなか豪華です。
戦乱の世。
隣国、山名に攻め滅ぼされ、陥落した秋月の城で、軍資金探しに駆り出されていた山名の金堀り師の武蔵と木こりの新八。
噴出ガスの爆発騒ぎに便乗して逃げ出した２人は、山中で秋月が隠した軍資金の黄金を発見する。
だが、その直後、六郎太と名乗る野武士と彼の弟に囚われ、敵中を突破し、早川へ向かう道中の案内をする羽目になった。
その弟とは、実は秋月家を継ぐ雪姫だった・・・
これは、なかなかの出来映えの冒険活劇。
黒澤時代劇を、ビジュアルで魅せる今の時代に合わせ、スケールアップしたのは、少なくとも前半についてはまずまず成功していると思いました。
また、登場人物、ひとりひとりの内面の変化を描くドラマを盛り込むなど、名作を仕立て直しに向けてのその意欲は買えるものです。
ただし、樋口真嗣、その卓越した映像センスの割には、やはりドラマが弱い。盛り込まれたドラマは、それぞれに感動的ではあるものの、結びついて大きな流れを生むには至らず、黒澤が得意とした民衆のパワーも描かれているとは思えません。
（少なくとも、最後の戦い、城は爆発ではなく、民衆の力で押し潰すべきだったでしょう）
また、松本潤を主役格にし、恋愛ドラマの要素を盛り込んではいるものの・・・これまた、樋口真嗣、恋愛の描き方が不器用で・・・これが、終盤のドラマをぐだぐだにしてひとつの原因と思います。
あと、噴出ガスの設定や、ラストの爆発する砦からの六郎太の脱出など、納得出来ない部分が多くて・・・どうも脚本が練れていない感があります。
主演の松本潤は、演技はまぁまぁ。もっとも、髭はかなり不自然でした。
髭面が似合う、と言えば、阿部寛の武者姿はいいですね。オリジナルでは、三船敏郎がやっていた役ですが、かなりいいハマり具合だったと思います。
長澤まさみは、前半の男装が今までにない魅力。
あ、結構、アクション似合うじゃないか、と思いました。
贅沢を言えば、後半の姫姿で立ち回りを見せて欲しかったものですが・・・まぁ、お姫様姿が似合うのは、さすが、東宝の箱入り娘。
しかし、娯楽作らしく、もたれる重さがないのはいいとして、印象も軽いのはちょっと物足りません。
やはり、リメイクと言うのは難しいのでしょうかねぇ・・・
（５月１６日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
樋口真嗣
■出演
武蔵 ・・・ 松本潤
新八 ・・・ 宮川大輔
六郎太 ・・・ 阿部寛
雪姫 ・・・ 長澤まさみ
（その他のキャスト）
椎名桔平 甲本雅裕 皆川猿時 小松和重 田鍋誠一郎
坂野友香 中村橋弥 橋本じゅん 栗根まこと 川口節子
大塚明夫 古田新太 生瀬勝久 ピエール瀧 徳井優
黒瀬真奈美 KREVA 上川隆也 國村隼 高嶋政宏
■コピー
隠された黄金と狙われた姫を追って、壮大なアドベンチャーが幕を開ける──。
■Ｌｉｎｋ
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