奈緒子
これは、「ビッグコミックスピリッツ」に連載された、原作：坂田信宏、画：中原裕の同題の人気コミックを、「まぶだち」や「ロボコン」の古厩智之監督で映画化したもの。
物語の舞台となるのは、長崎の波切島。
釣船から海に落ちた奈緒子を助け、船長だった雄介の父は命を落とした。
それから６年。高校陸上界期待のランナーへと成長した雄介に、奈緒子は偶然、再会することになる。
だが、２人にとって、６年前の事故は未だ重くのしかかっていた。事情を知る波切島高校陸上部の西浦監督は、止まったままの２人の時間を再び動かそうと、奈緒子を夏の合宿のマネージャーとして迎えるが・・・
これ、高校駅伝を題材にしたスポーツ青春映画なのですが・・・また、難病ものにしちゃってる。
しかも、主人公２人は過去のトラウマを抱え・・・これは結構複雑な物語になっています。
勿論、原作のコミックは８年も連載が続いた長い物語であり、それ故の複雑さではあるのでしょうし、確かに、悪い話ではないと思うのですが、映画が問題なのは、その物語を上手く要約出来ていないこと。
特に、この種の映画として大事な、みんなの心がひとつになり、まとまっていく、その瞬間が描けていない事と、主人公のトラウマがどのように解消したのかが曖昧な事は問題で、物語がどうにも盛り上がって来ないのです。
盛り上がりに欠けたままで、物語はクライマックスのレースを迎え・・・それ故、レースがスタートした時、まるで途中経過をすっ飛ばされたような大きな違和感がありました。
そして、それは最後まで消えず・・・懸命に走る若者たちが美しく、それだけで感動的であるだけに、それを劇的なものに出来なかった映画にもどかしさが募りました。
（２月１６日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
古厩智之
■出演
篠宮奈緒子 ・・・ 上野樹里
壱岐雄介 ・・・ 三浦春馬
（その他のキャスト）
佐津川愛美 柄本時生 富川一人 タモト清嵐 綾野剛
結城洋平 五十嵐山人 佐藤タケシ 兼子舜 藤本七海
境大輝 光石研 山下容莉枝 嶋尾康史 奥貫薫
嶋田久作 笑福亭鶴瓶
■コピー
君のために、走る
■Ｌｉｎｋ
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