ミッドナイトイーグル
ＭＩＤＮＩＧＨＴ ＥＡＧＬＥ
金曜日、会社帰りにＴＯＨＯシネマズ海老名で観ました。
これは、高嶋哲夫の同名小説を「ホワイトアウト」や「亡国のイージス」の長谷川康夫が脚色、「フライ，ダディ，フライ」の成島出が監督した映画。
冬の北アルプスに墜落した米軍の最新鋭ステルス爆撃機「ミッドナイトイーグル」を巡るアクション・サスペンス映画です。
日本映画としては、力の入った大作で、アクションだけでなく、山岳映画、ポリティカル・サスペンス、家族愛などの人間ドラマ等々、さまざまな要素が詰め込まれており、上映時間も２時間１１分と通常の映画より少し長めになっています。
世界の戦場を駆け回り写真を撮り続けた戦場カメラマンの西崎。だが、３年前に戦場を離れた彼は、独り北アルプスに篭るようになっていた。そんなある日、西崎は夜空を横切る赤い光を目撃する。
無人の山中に軍用機が墜落しただけの事故にも係わらず、事件が公にされないのはなぜか。そこにキナ臭いものをかぎつけた後輩の新聞記者・落合に雇われ、西崎は墜落現場の北アルプス山中に向かう・・・
現在の日本で、軍事サスペンスを描こうとすると、どうしても悪玉は北朝鮮になってしまいます。（その癖、映画の中では一言も「北朝鮮」と言っていない腰抜けぶりには脱力ですが）
潜入した北朝鮮工作員の破壊工作と、その阻止がドラマの中心になる、その内容は「亡国のイージス」とかなり重なります。
しかし、この映画、「亡国のイージス」に比べ、完成度はかなり低い感じを受けました。
その原因は２つあって、ひとつは映画が描くディディールの弱さが生む、リアリティの欠如。
細かなツッコミをいちいちしていてもキリがないの省きますが、これ、この映画全体を通して感じる事で、細部の煮詰めが甘いのです、この映画。
こうした細部を引き締める事で、映画の印象は大分引き締まるはず。
まぁ、でも、こうした部分は本来、些細な事で、ドラマがしっかりしてさえいれば、それでも観客を感動させる事は出来るものです。
ところが、この映画は、そこが出来ていないのです。
それは、主人公・西崎のキャラクターと、彼が抱えたドラマそのものです。
多くの人々を１枚の写真で感動させ、人生を変えてしまう程の名カメラマン、と言う設定ですが、その西崎が作品を発表しなくなってしまうに至ったトラウマとしてのエピソードが、冒頭のあれ、と言うのは如何なものか。
西崎が本当に名カメラマンであったなら、それこそ、あの瞬間を撮ったでしょう。
名カメラマンなればこそ、己の魂が揺さぶられる程の衝撃を、印画紙に焼き付けなくてどうする？
西崎が己の無力を嘆くとしたら、そうまでした撮った写真が認められなかった事にしないと説得力がないでしょう。
冒頭のこのシーンに始まり、以後のドラマにどうにも乗り切れず、最後まで感情移入が出来ませんでした。
日本映画としては頑張っている規模の映画だとは思いますが、どうにも中途半端な印象の映画だなぁ・・・
（１１月３０日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
成島出
■出演
西島優二 ・・・ 大沢たかお
落合真一郎 ・・・ 玉木宏
有沢慶子 ・・・ 竹内結子
（その他のキャスト）
吉田栄作 袴田吉彦 佐々木勝彦 橋爪淳 坂本爽
金子さやか 波岡一喜 濱田岳 浜田晃 重松収
佐原弘起 相築あきこ 大森南朋 石黒賢 藤竜也
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日本滅亡まで48時間。
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