「グリーンマイル」

　本日は、天気もなんとかよさそうなので、箱根を一流しした後で、「グリーンマイル」を観て来ました。
　最近まで混雑していた「グリーンマイル」ですが、「アメリカン・ビューティー」などの話題作が公開されたことと、今日は暦の上では平日、と言う事もあって、今日の所は劇場はがらがらでした。

　これは、スティーブン・キングの同名小説を、同じくキング原作による映画「ショーシャンクの空に」の監督、フランク・ダラボンが映画化したもの。
　物語は、病を治癒する”奇跡の力”を有する死刑囚と、彼を収監した刑務所の看守たちの物語です。
　これは、聖書や聖人伝にある、キリストや聖人たちが起こした”奇跡”のエピソードが元ネタで、本作は、聖人伝の現代版、とでも言えるのではないでしょうか。
　（死刑囚・ジョン・コーフィーのイニシャルがキリストと同じだったりしますし、この辺は、キング、確信犯でやってると思います）

　物語は死刑囚・コーフィーの起こす奇跡と、その力を持つが故の悩み、そして無実の罪で彼を電気椅子に座らせなければならなくなった看守の人生を描きます。
　これに（原作には登場しないそうですが・・・）、悪質な若い看守や、芸達者なネズミ、真犯人の凶悪犯などのエピソードを絡めて行くのですが・・・私的には、この辺整理して、もう少し短くまとめて欲しかった話ですね。(^^;
　大体、登場人物の善・悪がはっきりして（これはスティーブン・キング作品自体に言える事なのかもしれないけど）いて、善の側の人間は黙っていてもいい事をするし、悪の側は、悪い事して最後に報いを受ける・・・と言うもので、そこに人間の二面性や成長を描かない。
　（良心的な人間でも「つい、出来心で」と言う事はあるし、極悪人でも、人間性をどこかに残していたりするものでしょう）
　ま、物語を単純化する為にそう言う描写を選んだと言うのは判るにしても、それだったらもう少し短くまとめて欲しかったなぁ、と言う所です。
　（映画は３時間８分あります）

　主演のトム・ハンクス始め、出演者は好演しています（私的には、「交渉人」に出ていたデビッド・モースがよかった）し、映画の造りも丁寧で、３時間以上の上映時間にも関わらず、確かに退屈はしなかったのですが・・・それでも泣けなかったのは、「ショーシャンクの空に」の監督に、聖書のエピソードが元ネタのスティーブン・キング原作、キャストは好感度No.1のトム・ハンクス、と言う、泣かせミエミエ、アカデミー賞狙いミエミエのプロデュースに、あざといものを感じたからかも知れません。

　（５月２日　マイカル本牧シネマズにて）

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