レディ・キラーズ

　月曜日、恒例の・・・と言っても、最近、なかなか観に行けてなかったりもするけれど、今日は何とか早めに会社を上がり、ＷＭＣ海老名へ。
　でもって、「レディ・キラーズ」を観て来ました。

　これは、「オー・ブラザー！」や「バーバー」のコーエン兄弟が、トム・ハンクス主演で製作した犯罪サスペンス、と言う触れ込みですが・・・

　映画の舞台となるのは、コーエン兄弟お馴染みのアメリカ南部、ミシシッピ川のほとりの平和な街。
　そこに猫と暮らす老婦人マンソン宅に、ひとりの男が訪れる。
　ゴースウェイト・ヒギンソン・ドア教授と名乗る男は、貸し部屋の案内を見て彼女の家を訪ねたと言うが・・・

　・・・この映画、ちょっと宣伝文句に偽りあり過ぎではないでしょうか。

　「史上最強の犯罪エキスパート」は、ドジばかりのシロウトの集まり。
　「完璧なカジノ強奪」もお寒い限り。
　そもそも、トム・ハンクスが、”女も殺す、大悪党”を演じる、と言う事で話題になっているのに、映画でのトム・ハンクスの役柄は、警察に怯え、予期せぬ事態に頭を抱え、人を殺すことなど出来そうもない、小心者の小悪党でしかありません。

　この映画、そんな小悪党が、シロウト集め、平和な街の警備の緩いカジノからお金をかすめ取ろうと企むが、アジトに使った貸部屋の女主人、マンソンのオバチャンパワーに振り回されて自滅する、と言うブラックコメディなのです。
　これを、「犯罪サスペンス」として売り込むのは・・・単館系映画ならともかく、この規模で公開する映画としては大いに疑問。

　そもそもコーエン兄弟の映画と言うのは、アメリカ南部の地方性に根ざす映画で、そうした部分を理解しなくては面白さは半減。
　到底、日本で一般ウケするような作品である訳もなく、それをこの規模で公開しても成功はおぼつかないのではないでしょうか。

　映画としての見所は、少々、悪ノリが過ぎるとさえ思えるトム・ハンクスの暴走ぶり。
　まぁ、最近、大作ばかりに出ているトム・ハンクスですが、元々、スタンダップ・コメディアンだっただけに、こうした演技の方が活き活きとして見えますね。
　少なくとも、文芸大作でのしかめっつらのトム・ハンクスより、ずっとお似合い、と言う感じはあります。

　ブラックコメディなのは判るけど、後半バタバタ人が死んでいく殺伐とした映画ですし、下ネタ、お下劣ネタの多用には、少々辟易する部分もあります。
　そんなんで、この映画、決して楽しめたものではありませんでした。

　（５月３１日　ＷＭＣ海老名にて）

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