パッション

　出勤日だった土曜日、仕事を終えて、何か映画を観て帰ろうかな、と。

　お目当ての「ゴッド・ディーバ」は時間が合わず、「世界の中心で、愛をさけぶ」は初日だけに混んでいそうだ。
　・・・ってな訳で・・・「パッション」を観る事にしました。

　これは、メル・ギブソンが私財を投じて製作・監督した、イエス・キリストの最後の１２時間を描く映画。
　有名なゴルゴダの丘での十字架刑に至るまでのキリストの受難をリアルに描き話題となった作品です。
　また、台詞は、すべてラテン語とアラム語で書かれ、アメリカ映画だと言うのに全編英語字幕と言うのも異色です。

　はらは（一応）仏教徒ですし、聖書を読み通した事もありません。
　そんな状態の為、この映画について語る資格がない、と言えばその通りなのですが・・・正直な感想を言えば、退屈な映画でした。

　映画は、ユダの裏切りによって、キリストが捕縛される所に始まり、そして処刑されるまでの１２時間を描きます。
　そして、その１２時間の描写に、回想シーンによって、福音書にある有名なエピソードを挿入して行くと言うスタイル。
　これは、聖書に親しんでいる人であれば、いいのでしょうけど、はらにとっては、その背景が判らず、戸惑う事もしばしば。
　確かに、メル・ギブソンの信仰心と誠実さを感じはしますが、１本の映画にするのであれば、もう少し脚色を入れてもよかったのでは、と思います。

　映画は、キリストの受ける虐待の様子を克明に描いて行きます。
　それは血みどろで、あまりに救いがないもの。
　その、あまりの凄惨さに本国の上映時には失神者すら出したと言うのも頷けます。

　ただ、キリストがこうした虐待を受けつつも、自分に苦痛を与え、あざ笑うものにさえ祈りを捧げ、神に許しを乞う姿には心を打たれました。
　それから２０００年。
　彼の名前を持つ宗教を多くの人が信仰しています。
　ただ、未だ流血と惨劇を繰り返す人の歴史を考えると、その、「贖罪の死」にどのような意味があったのか、複雑な思いにさせられました。

　（５月８日　ＷＭＣつきみ野にて）

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