「キャンディ」を見終わった後、本日、お目当ての「ノボ」を観に、シネセゾンに行きました。

　この映画は、「メメント」にも登場した、コルサコフ症候群（前向健忘症）と言う、記憶障害を持つ男を主人公にした、ちょっと変わったラブストーリー。

　この映画の主人公のグラアムは、５分以上の記憶が出来ないと言う、記憶障害を持っている。
　そんな彼の会社に派遣社員としてやってきたイレーヌは、彼に興味を抱いて接近、その日のうちにベッドを共にすることとなる。
　「今この時」だけを生きるグラアムに惹かれるイレーヌだが・・・

　「メメント」では、この記憶障害を上手く使って、時間逆行の非常に巧妙なサスペンスを仕組んだのだけど、この映画が描くのは、そうした記憶障害を持つ人と、周囲の人との間の関係に焦点を当てていきます。
　恋愛関係と言うのもそのひとつで、この映画では、その他に、男の妻、子供、友人を登場させて、それぞれの人の絆が「記憶」によって、どうなって行くかを描いて行くのです。

　どんなに愛し合っても、次の日、いや５分経てばその事を忘れてしまう男を「マンネリ化せず、いつまでも新鮮」と感じて、惹き付けられる女、イレーヌ。
　そして、記憶しない男を絶好の不倫相手と考える、男の女性上司。
　しかし、男の妻は、記憶のない男を、夫と思い続ける事が出来ずに心離れ、イレーヌもまた、「絆」を欲してしまう。

　人が当たり前と思う「記憶」とは何か、そして、人と人とも結びつける、絆とは何なのか・・・
　この映画が抱えるテーマはなかなか難解です。

　そんなテーマを更に難解に見せるのは、挿入される一見、意味不明のエピソード。
　女性の性器に歯を挿入する意味とか、イレーヌをつけ回す女性上司の行動目的とか・・・ひょっとしたら、この映画、実際にはもっと長く、編集されて意味が通らなくなっているのかも知れませんが、こうしたエピソードが元々難解なテーマをより判りにくくにしているように思いました。

　この映画のもうひとつの売りは、ヒロインのイレーヌを演じた、アナ・ムグラリス。
　今年のシャネルの「顔」になったと言う美貌に加え、今回は、ベッドシーンなどでセクシーな姿態をたっぷりと見せてくれます。（眼福、眼福(*^^*)）

　（７月６日　シネセゾン渋谷にて）

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