これは、２０１１年に製作されて翌年日本でも公開された韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」を、現代日本を舞台にリメイクしたもの。
　私はオリジナル版を公開時に観ていて、「これ、日本版としてリメイクしたらいいのでは」と思ったのですが、そう思った人は少なくなく、そのひとりが大根仁監督だったので、こうして日本版リメイクが映画となりました。

　奈美はアラフォーの専業主婦。母の見舞のため病院を訪れた奈美は、同じ病院に入院していた高校時代の親友・芹香と２０年ぶりに再会する。
　その芹香は末期がんに冒され、医者から余命１ヶ月を宣告されていた。病床の芹香は奈美にひとつの願い事をした。
　「あの頃の仲間に会いたい。ＳＵＮＮＹのバカ共に！」と。
　高校時代、仲間たちのリーダー格で、一番の親友だった芹香。その芹香の、ひょっとしたら生涯最後の頼みを断るわけにはいかない。奈美は、ＳＵＮＮＹの残る５人の仲間を探し始めるが……

　映画はオリジナルをほぼ忠実にリメイクしたもの。
　ただ、時代設定が主人公の高校時代が１９９８年頃、そして現代パートはその２０年後の現在、となると……現代パートを演じる篠原涼子、板屋由香はちょっと年齢が合わないか、と――主人公、現代パートで３７歳くらいのアラフォーですが、この２人はアラフィフですから。小池栄子はドンピシャだけど、渡辺直美は若過ぎる……まぁ、このキャスティングは難しかったのだろう、と思うのですが。
　ただ、アラフォーとなったＳＵＮＮＹを演じる女優に、イメージの通じる若手キャストを配しているのもなかなか……もっとも、芹香の若い頃を演じた山本舞花はちょっとイメージが異なるのですが、これは当初、芹香を真木よう子が演じる予定だったとの事で納得。それなら違和感ないでしょう。
　そんなＳＵＮＮＹのキャラクターはオリジナルのイメージを活かしており、１名減らして、ドラマを濃くしたのもいいアレンジだと思います。
　オリジナルにあった時代背景としての自由化運動を、コギャル文化とオタク、と言う設定に置き換えた狙いは悪くないと思いました。確かに、バブル崩壊後の世紀末、脳天気に明るかったのは女子高生くらいでしたから……もっとも、物語が軽薄になった感があるのは否めず、正直、ここはもう一工夫欲しかった所です。
　あと、現代パートでのＳＵＮＮＹの大暴れは、やはり、奈美の娘のためで欲しかったなぁ……それで、奈美と娘の関係改善が欲しかったな――あれでは“痛い母親”で終わりですから。

　残念だったのは音楽の選曲。
　オリジナルでは誰もが知ってるポップスの名曲揃いで、だからこそ普遍的な魅力があったのに対し、この映画では、それを日本の’９０年代ヒット曲に置き換えています。音楽プロデューサーは当時、一世を風靡した小室哲哉なのですが、この選曲は正直いまいちで、伝説のヒットメーカーも腕が鈍ったか、と言う感じを受けました。
　冒頭の回想シーンに入る「ＬＡ・ＬＡ・ＬＡ　ＬＯＶＥ　ＳＯＮＧ」は、「ラ・ラ・ランド」のパクリと言われても仕方ないような、ちょっとあざとい感じでしたし、主題歌の「強い気持ち　強い愛」も女子高生がオザケン聴くのか？（一応、ハズしである、と言う説明はされていましたが）など、ちょっと疑問を覚えてしまったのが残念。ここは、小室縛りでもよかったし、今年引退と言う事で再燃している安室奈美恵ブームに便乗して、安室縛りと言うのもアリだったのではないでしょうか？――当時のコギャル文化でカリスマ視されていたのは、やはり安室と浜崎でしたから。

　ラストの大団円のアレンジ、あれはあれで悪くなかったと思います。最後まで姿を見せなかった奈々がここで揃えば文句なしだったのですが。
　元がよかったせいもあり、確かに面白く出来ていましたし、楽しめもしましたけど、期待し過ぎた感もあって、やはり、オリジナルを超えるまでは行かなかった感じです。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

大根仁

　■出演

奈美　・・・　篠原涼子／広瀬すず
芹香　・・・　板谷由夏／山本舞香
裕子　・・・　小池栄子／野田美桜
梅　　 ・・・　渡辺直美／富田望生
心　　 ・・・　ともさかりえ／田辺桃子
奈々　・・・　池田エライザ

（その他のキャスト）
　三浦春馬　　リリー・フランキー　　新井浩文　　矢本悠馬

　■コピー

青春と、再会する。

　■Ｌｉｎｋ

http://sunny-movie.jp/

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