Ｓｕｎｎｙ
サニー
永遠の仲間たち
これは、４０代女性が、高校時代の親友と２５年ぶりに再会して、大切なものを取り戻す友情物語。
韓国では口コミによって評判が広がり、７４０万人が観たと言う大ヒット映画です。
イム・ナミは夫と高校生の娘とソウルで暮らす専業主婦、４２歳。
母を見舞いで訪れた病院で、ナミ見覚えのある名前を見つけた。病室にいたのは高校時代の親友、ハ・チュナだった。
ガンで余命２ヶ月のチュナは「死ぬまでにもう一度、昔の仲間に会いたい」とナミに頼み事をする。
ナミはその頼みを引き受け、ひとりずつ昔の友人たちを見つけ出して行く。だが高校卒業から２５年。それぞれの人生は、かつて夢見たものとはまるで違うものになっていた・・・
この映画、どうせベタな感動を強制するタイプの韓流映画でしょ、と思っていたのですが、どうやら評判が非常にいい。
そんな訳で、会社を休んで公開終了直前に観たのですが・・・なるほど、これは確かにいい。
よく練られた脚本、登場人物が７人と多めで、しかも、２５年前と現在を行き来する構成で、混乱するか、とも思ったのですが、登場する人物がどれもキャラが立っており、それがドラマとガッチリ合っているので混乱をすることもありません。
この種の映画では、現在と過去をひとりの役者が演じ分けることも多いのですが、この映画では２５年前の高校時代と現在を別々の女優が演じています。それでも、面影や、雰囲気が似通っていて、ちゃんと同じ人物に思えるのは大したもの。
それに、８０年代当時の音楽を巧みに使っているのもこの映画のウリのひとつ。
オープニングは、「タイム・アフター・タイム」のイントロで幕を開き、高校時代のエピソードにシンディー・ローパーを重ね、ロマンティックなシーンにはリチャード・サンダーソンの「愛のファンタジー」（映画「ラ・ブーム」のテーマ曲）。映画のクライマックスに使われるのは、彼女たちのチーム名にもなっている「サニー」です。
この辺り、自分も高校時代に聴いていたジャストミート世代なので、これらの曲には懐かしい気持ちにさせられました。
ラジオの深夜放送へのリクエスト投稿や、学園祭の様子、他校の女子グループとの小競り合いなど、高校時代のエピソードは懐かしくも面白く仕上がっていました。
さすがに、他校の女子グループとの乱闘と、学生運動のデモ隊と機動隊の衝突に重ねて描くのはやり過ぎではないか、と思いましたが・・・
仲のよかったサニーのメンバーたちがなぜ２５年間も音信不通だったのかなど突っ込みどころもありますが、それも、勢いのある演出に押され、観ているうちは気になりませんでした。
ただ、イム・ナミが娘との関係を変えて行くのは見たかったなぁ、と。
不良女子グループに娘がカツアゲされているのを目撃したイム・ナミは、娘の制服を着て仲間と共に不良共をシメるのです。ここまでやるお母さんはまずいませんから。
また、韓流と言うと、大げさな芝居や、ベタな描写が目立つものですが、この映画は、映画内でそんな韓流ドラマにツッコミを入れまくり、ベタな描写は、徹底的にパロディにしてしまっているのも好印象。
（やはり、韓国人も、あれはベタだと思っていたのか・・・）
そんな作風なので、８０年代と、若い頃を振り返り、「あの頃はよかった」で終わらせず、青春時代の甘酸っぱさと、現代のほろ苦さを重ね合わせ、それでも尚、変わらぬ友情を描き切ります。
クライマックスは、ハ・チュナがリーダーらしい遺言で締めくくり、最後のひとりが揃った所でスパっと締める。
決してベタじゃない、爽やかで感動的な内容に、満足、大満足の映画でした。
PS
イム・ナミを演じた女優、ユ・ホジョンが松嶋菜々子に似ていたせいもあり、これ、日本でリメイク出来ないものか、と思ってしまいました。
８０年代の音楽を詰め込んで２５年前を描いたら、それは懐かしくも楽しいものになるんじゃないかな、と・・・
（２０１２年 ６月１２日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
カン・ヒョンチョル
■出演
イム・ナミ ・・・ シム・ウンギョン／ユ・ホジョン
ハ・チュナ ・・・ カン・ソラ／ジン・ヒギョン
（その他のキャスト）
キム・チャンミ コ・スヒ パク・チンジュ ホン・ジニ ナム・ポラ イ・ヨンギョン
キム・ボミ キム・ソンギョン ミン・ヒョリン
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