「ドニー・ダーコ」

　今日は、天気がよければちょいと箱根にでも、と思っていたのですが、生憎の曇天。で、「今日は映画を観に行こう」と方針転換。
　と、言うことで、前から気になっていた、「ドニー・ダーゴ」を観に、新宿へ出掛けました。

　１９８８年１０月２日午前０時。
　郊外の住宅に住む高校生、ドニー・ターゴは、彼を呼ぶ不思議な声に導かれるようにして、家から外に出た。
　その声の主は銀色のウサギの仮面を被った人物。
　ウサギは「今から２８日と６時間４２分１２秒で世界は終わる」とドニーに予言する。
　その直後、ダーコ家に何かが落下。大音響が轟いた。
　飛行機から脱落したエンジンが、ドニーの寝室を直撃したのだ。
　ドニーは銀色のウサギのおかげで九死に一生を得るが、この日から彼の周辺で奇妙なことが次々に起き始める・・・
　世界の終りとは何か。
　銀色のウサギの正体は。
　ドニーには夢遊病癖があり、精神失調の傾向も見られる為、現在も心理療法を受けている。
　銀色のウサギ自体、ドニーの幻覚ではないのか・・・
　
　さて。
　この映画、何と言ったらよいのやら。
　とりあえず、「スリラー」と紹介される映画だけど、決してスリラー映画と言い切れる映画ではないし、タイムトラベルを扱うけれどＳＦと言う訳でもない。
　主人公は高校生だけど、青春ものでもないし、恋愛もあるけれど、それがメインの映画じゃない。
　そんなとりとめもない印象の映画を引っ張るのは、
　「２８日と６時間と４２分１２秒で世界は終わる」
　と言う、銀色のウサギの言葉から始まるカウントダウンです。
　ただ、これが緊迫感溢れる破滅へのカウントダウンの様相を見せるか、と言えばそうでもない。
　なにせ、事件が起きたのは１９８８年、その１０月末で世界が終わらなかったのは事実だし、ドニーは、精神失調の傾向があり、かつて放火事件を起こした事もある。
　銀色のウサギ自体がドニーの幻覚でしかない、と言う可能性がある訳で、観客は、その辺り、半信半疑で映画につき合う事になります。

　海外の映画祭では高い評価を得た作品らしいけど、私的にはピンと来ない映画でした。
　アイデアとしては面白いし、様々なアイテムが、さながらパズルのピースのように組合わさって、次第に全貌が見えてくる物語はなかなかと思うけれど、それらが最後、綺麗に収斂していかないと言うか、「そうか、こう来たか！」と言うような、センス・オブ・ワンダーを感じる事が出来ませんでした。

　主人公のドニーを演じるのは「遠い空の向こうに」のジェイク・ギレンホール。
　「遠い空の向こうに」に較べると、大分、大人びて、存在感も演技も進歩しているのが感じられます。
　ドニーの恋人役は、「海辺の家」のジーナ・マローンですが、この作品でも、清純なのか奔放なのか判らない感じは相変わらず。てゆーか、それが持ち味？って気がしなくもないのですが・・・

　（９月１５日　新宿・シネマスクエアとうきゅう）

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