バットマン ｖｓ スーパーマン
ジャスティスの誕生
これは、ザック・スナイダー監督が描くスーパーマン「マン・オブ・スティール」の続編にして、ＤＣコミック版「アベンジャーズ」と言えるスーパーヒーロー集合シリーズ「ジャスティス・リーグ」に向けた映画となります。
メトロポリスにおけるスーパーマンとゾッド将軍との激戦によりウェイン・コーポレーションの社屋を破壊され、多くの社員の命を奪われたブルース・ウェイン。
やがて、ブルース・ウェインは、アメリカにとってスーパーマンは危険な存在であり、倒さなければならない、と言う考えを抱くようになる。その背後には、若き富豪で野心家のレックス・ルーサーがいた……
「マン・オブ・スティール」で描かれた、崩壊するビルと瓦礫に埋もれた市民の悲鳴に構わずゾット将軍と戦い続けるスーパーマンの姿に感じた違和感……それを地上からあらためて描く事で、その違和感を「スーパーマンを倒す」理由としたのには説得力がありますし、発明家のブルース・ウェインに、パワードスーツを用意させ、スーパーマンの力を奪うクリプトナイトを併用するなど、地球人であるバットマンがスーパーマンと戦える状況を作り出して、対決ムードを盛り上げているのもいい。
また、ザック・シュナイダーならではのアニメを実写でやっているかような派手で格好のいいアクションと、ディズニー傘下になった事で、破壊と人死ににブレーキのかかったマーベル・スタジオ作品とは別物の情け容赦ない展開も健在。
２１世紀のスーパーヒーローものとして、「強大な力が必要な否か」を問うテーマと、暗く冷たい雰囲気は、明るく、笑いを盛り込んだマーベルとは違う、ノーラン＋スナイダーならではのビターな味わいで、これははっきり大人向けの作品でしょう。
ただ、この作品、物語上の粗が結構目立ちます。ブルース・ウェインの動機はともかく、レックス・ルーサーの行動理由が見えませんし、ワンダー・ウーマンの登場も唐突。確かに格好のいいシチュエイションは作るのですが、物語と言うか脚本の練り込みが足りないような印象です。
そして、「ジャスティス・リーグ」に登場するはずのその他のヒーローについても扱いが余りに中途半端で、多くのスーパーヒーローを登場させながら、それぞれの見せ場も的確に作る「アベンジャーズ」と比べ、次に来る「ジャスティス・リーグ」の出来が不安に思える出来映えです。
そして、終盤の展開。
スーパーマンの死――そして、この次に控える「ジャスティス・リーグ」で描かれるであろう、その復活――は、「スーパーマン リターンズ」でも描かれたスーパーマンを“新たな神の子”とするもの。
「スーパーマンと言う強大な力は社会に必要か？」と言う問いに始まった映画が、落とし所を“宗教”にすると言うのは、いささか安易な感も受けました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ザック・スナイダー
■出演
ブルース・ウェイン＝バットマン ・・・ ベン・アフレック
クラーク・ケント＝スーパーマン ・・・ ヘンリー・カヴィル
レックス・ルーサー ・・・ ジェシー・アイゼンバーグ
ダイアナ・プリンス＝ワンダー・ウーマン ・・・ ガル・ギャドット
ロイス・レイン ・・・ エイミー・アダムス
（その他のキャスト）
ダイアン・レイン ローレンス・フィッシュバーン ジェレミー・アイアンズ ホリー・ハンター ウンミ・モサク カーラ・グギノ
マイケル・シャノン ケヴィン・コスナー アンダーソン・クーパー パトリック・ウィルソン サル・ロペス.
アルマ・マルティネス マシュー・テイルフォード ゴードン・マイケルズ エズラ・ミラー ジェイソン・モモア
レイ・フィッシャー ジョー・モートン マイケル・キャシディ ＴＡＯ
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世紀の対決。
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