| 新劇場版 頭文字Ｄ Ｌｅｇｅｎｄ ３ −夢現− |
これは、しげの秀一の人気コミック「頭文字［イニシャル］Ｄ」のリブート作品、第三弾にして完結編。
平凡な高校生だった藤原拓海だが、赤城レッドサンズの高橋啓介、妙義ナイトッキッズの中里毅を下して、今や“赤城のハチロク”として群馬の走り屋で知らぬ者はない、と言う存在になっていた。
その拓海に、“赤城の白い彗星”高橋凉介が挑戦状を突きつけた。
決戦の土曜日を前に、何故か拓海は上の空で……
この第三弾ですが、正直、シリーズの前２作に比べて見劣りし、新劇場版シリーズの最後を飾るにはいささか残念な出来映えなっていました。
平凡な高校生の日常から、高橋啓介のバトル、と言う盛り上がりを見せた第一作目、「闘走」のサブタイトル通りに２つのバトルを繋いだ第二作目に対し、バトルはクライマックスの１本のみ、予定調和のクライマックスに向けて日常をあらためて綴るその展開は間延びした感じがありました。
また人物が上手くないも原作のしげの秀一の通りと言えばそうなのですが、なつきとのデートシーンはもう散々な出来で、脚本の拙さに演出の下手さもあって、もう耐え難い酷さでした。
（この短い上映で席を立つ観客がいたのにも納得……）
クライマックスのバトルも、観たいのはクルマの走りなのに、ギャラリーの反応を延々と映してフラストレーション溜まりまくり、しかも肝心の内容自体も前２作に見劣りするものでした。
そして最大の問題が、トヨタ８６の登場。
この物語、原作の雑誌連載が始まり大人気となった１９９５年前後の時代のはずで、そうでなければ若者がクルマに熱中し、夜な夜な峠に通うなどと言うことは考えられません。
これは、そんな風にクルマが若者の心を捉えていた時代を描く、一種の時代劇である筈なのです。
（なので、第二作目の際、中里のＲ３２にＲ３４の部品がついているのを「オーパーツだ」と指摘した）
そんな作品世界に、現代のクルマである８６を登場させたのは、これはもう製作者による作品世界の破壊です。これはもう、本当にがっかりしました。
（２０１６年 ２月１１日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
日高政光
■音楽
土橋安騎夫
■出演
藤原拓海 ・・・ 宮野真守
高橋凉介 ・・・ 小野大輔
高橋啓介 ・・・ 中村悠一
（その他のキャスト）
諏訪部順一 阪口周平 白石稔 内田真礼 平田広明
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