| 新劇場版 頭文字Ｄ Ｌｅｇｅｎｄ 1 −覚醒− |
これは、過去に何度も映像化されている、しげの秀一の人気コミック「頭文字（イニシャル）Ｄ」のリブート作品。
物語を最初から仕切り直し、より進歩したＣＧの導入によって、迫力のあるカーアクションを描き出しています。
走り屋チーム・赤城レッドサンズを率いる高橋啓介は、遠征してきた秋名山の峠道でＡＥ８６型トレノ（ハチロク）に抜かれて唖然とする。
それ以来啓介は、雪辱を果たす為に秋名山に通い詰めるのだが、地元の走り屋たちも、そんな車は知らないと言う。
まるで幽霊のようなハチロクを引き出すべく、啓介はレッドサンズを率いて秋名に乗り込み、地元の秋名スピードスターズを圧倒、格の違いを見せつける。
熱くなって事故ってしまったスピードスターズのリーダー池谷は、秋名の走り屋の名誉を回復すべく、“秋名最速のハチロク”を探すのだが……
これまでに「頭文字Ｄ」の映画化作品は、アニメを１本、香港で作った実写版を１本観ていますが、今回の映画が一番面白く感じられました。
原作コミックでも一番面白いと感じる冒頭部分を映画化しているのに加え、ＣＧの進歩によって、カーアクション（と言うか、峠道でのドリフト走行）をリアルに……と言うか、コミックスが描いた世界を忠実に再現しています。
ドライビングゲームの画面のようだった以前のものに対し、より自然にアニメ表現の中に溶け込んだＣＧの完成度は高まり、クルマの不自然な挙動も目立たなくなっており、迫力のあるカットと相まって、正にコミックスの世界そのままが大スクリーンに描き出される……これはなかなか興奮させられました。
また、ＣＧだけでなく、演出も心憎く、特に運転中のドライバーの視線移動などには感心しました。
これに加えて望むなら、あとはスキール音の再現でしょうか。
実際のドリフト走行を見ると、エンジン音よりもタイヤの鳴るスキール音の方が大きかったりするもので、その音からタイヤが地面を掴んでいる様も判るだけに、もっとリアルにやってくれたらなぁ、と思ってしまいました。
今回の映画は第１部となり、上映時間約１時間と、劇場公開の映画としては少し短いものとなっています。
３部作になる予定だそうですが、残る２本も同様に１時間程度で、合計３時間程度なのか、次は２時間になるのか？
長い原作の何処までを描こうとするのかを含め、この新シリーズがどうなるか……まずは来年夏の第２部を待ちたいと思います。
（２０１４年 ８月２４日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
日高政光
■音楽
土橋安騎夫
■出演
藤原拓海 ・・・ 宮野真守
高橋啓介 ・・・ 中村悠一
（その他のキャスト）
小野大輔 白石稔 内田真礼 平田広明 土田大 諏訪部順一
■コピー
目覚めろ、最速の遺伝子――
■Ｌｉｎｋ
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