| Ｒ１００ |
これはダウンタウンの松本人志の４本目となる映画。
大型家具店に勤める片山貴文は、秘密の会員制ＳＭクラブ「ＢＯＮＤＡＧＥ」に入会する。クラブに入会すると、さまざまなタイプのＳの女王様から多種多様な責めを受けることが出来るのだ。
このクラブの特徴は、店舗ではなく、会員の日常生活の中でプレイが行われると言うこと。
だが、そのプレイは片山の予想を超えてエスカレート。堪らず片山は途中退会を申し出るのだが・・・
この映画、いろいろな意味で残念な映画です。
確かに、この映画、なかなか凝っている部分はあります。
現代ではない、ちょっと前の時代を感じさせる舞台設定、それにあったクルマや小道具の数々・・・セピア色がかった画面も独特の雰囲気を出しています。
また、これまでの松本映画にあった、アドリブ主体で素のリアクションを重視した展開から、きちんと脚本を書いて作り込んだ、と言う作風の変化も感じられます。
だけど、松本人志の映画に求めるのはそう言う事なのか？と言うこと。これらは、従来の映画がやっている当たり前の作り込みの話であって、「映画を壊す」と公言する松本人志の映画には、必ずしも必要とは思えないのです。
前作「さや侍」で見せたような、ド素人に脚本も見せずに演じさせる、と言う、映画そのものの作り方をひっくり返すような姿勢が見られなかったのは残念としか言い様がありません。
そして、普通の映画としてみても、これは残念な出来。
松本人志は、ＳＭに哲学的な思い入れがある、と言うのですが、映画で描かれた内容がそれほどのものとも思えませんでした。
（「甘い鞭」の方が、そのビジュアルインパクトも含めて上を行くのではないかと思う）
また、片山の至福の表情と、終盤のあの表情をＣＧで処理しているのもひっかかる部分です。確かに、面白い効果は生んでいるのですが――ある意味、俳優・大森南朋の演技力を否定するものにも感じ、何故、演じさせない？と思ってしまうのです。
「映画を壊す」と言う松本人志ですが、多忙のせいもあって映画を十分には観られてない様子。
彼の本領とするお笑いの世界ならいざ知らず、本業ではない映画の世界で、映画そのものを壊そうとするなど、余程の力量か才能、或いは努力が必要でしょう。
映画と言うのは多少のやんちゃを呑み込んでしまえる表現形態であり、生半可な覚悟で挑戦しても歯が立つわけありません。
いささか手厳しい意見ですが、これは「身の程知らず」と言われても仕方ないのではないでしょうか？
（２０１３年 １０月８日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
■出演
片山貴文 ・・・ 大森南朋
（その他のキャスト）
大地真央 寺島しのぶ 片桐はいり 冨永愛 佐藤江梨子
渡辺直美 前田吟 YOU 西本晴紀 松本人志 松尾スズキ
渡部篤郎
■コピー
父はＭ。
■Ｌｉｎｋ
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