これは、松本人志、3作目の映画で、今度は時代劇です。
 ・・・とは言え、松本人志だけにこれが単なる時代劇に収まる訳がない。これまた挑戦的な取り組みのされた映画です。

 刀を捨て脱藩し、一人娘たえと共に放浪する野見勘十郎。
 賞金稼ぎに追われながら逃亡を続けていた彼だったが、多幸藩によって捕らえられ、“三十日の業”に処せられる。それは、母を亡くし笑顔を失った若君を、三十日の間に笑わせられなければ切腹というものだった・・・

 この映画、なんと、ド素人に脚本も見せずに映画主演させる、と言う、破壊的手法で作られています。
 (既にほぼドキュメンタリーみたいなもの)
 そんなド素人の野見隆明演じる野見勘十郎の“三十日の業”を延々と見せる展開は、正直、くどい感じもありますが・・・前作「しんぼる」もそんな部分がありましたし、これが松本人志の「味」なのかなぁ・・・

 しかし、「映画」とはいかなるエンターテイメントなのか?とばかりに、挑戦的な取り組みの続く松本映画。
 「ヒーロー」像を破壊した第1作、自ら「神」になった第2作。
 この第3作目は、いよいよ「時代劇」「感動」という伝家の宝刀を抜き、その内側から「映画」を壊そうとしたようにも思えました。
 だけど、最後まで突っ走ることなく、後半は「映画」としてまとめてしまった感があります。
 一体、松本人志は本気でやってるのでしょうか?
 肝心なところではぐらかされたようで、いささか拍子抜けしました。

 (月日 にて)


(作品データ)

 ■監督

松本人志 

 ■出演

 野見勘十郎 ・・・ 野見隆明

 たえ ・・・ 熊田聖亜

(その他のキャスト)
 板尾創路  柄本時生  りょう  ROLLY  腹筋善之介  清水柊馬  竹原和生
 伊武雅刀  國村隼

 ■コピー

鞘しか持たない侍とその娘、30日間の戦い──。  

 ■Link

http://www.sayazamurai.com/ 


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