ファミリー・ツリー
これは、「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督が７年ぶりに手掛けた長編映画。
この映画、ゴールデングローブ賞では作品賞と主演男優賞を受賞、アカデミー賞でも脚色賞を受賞するなど、評価の高い映画です。
主演のジョージ・クルーニーは、いつもの髪型で堅実な芝居を見せていますが、さすがに南国・ハワイではネクタイもスーツも不要でしたね。
ハワイで暮らす弁護士のマット・キングは、ハワイ王朝の祖カメハメハ大王の血を引く一族の末裔。
法律により、先祖から受け継いだカウアイ島の広大な土地を手放さなければならない状況になり、その対応に苦慮していた。土地を売れば、一族に莫大な金が入って来るが、先祖代々、守り継いで来た、ハワイに残る貴重な自然を開発するに任せてよいのだろうか・・・
そんな矢先、妻のエリザベスが趣味のボートレースで事故に遭い、昏睡状態となってしまう。妻の看病に加え、妻に任せっきりだった末娘の面倒まで見る事になった彼は、大学で寮生活を送る長女に助けを求める。
そうしてぎこちない娘２人との生活が始まった矢先、長女アレクサンドラから、妻が浮気をしていたと知らされる。
マットは妻の浮気相手だった男に会うことを決意するのだが・・・
これは、「平穏な日々」を送っていた主人公が、状況の変化により、これまでの人生になかったようないくつもの問題を抱え右往左往するというコメディです。
「アバウト・シュミット」や、前作「サイドウェイ」同様のテーマで、監督としては手慣れた内容なのでしょう。
この「平穏な日々」と言うのが曲者で、これは、何の問題もなく平和な状態であった、と言う訳ではありません。
問題から目を反らし、観て見ぬふりをしていただけで、既に破綻をしていたのです。
主人公は、そこから逃げようがなくなって初めて問題と向き合い、そして、漸く本当の「人生」が始まるのです。
問題行動を起こしていた末娘は、破綻した家庭を映し出していたのだし、どうしようもない若造に思えた長女のボーイフレンドも、世間知らずなだけで根のいい若者だと判って来る。
そして、妻の浮気相手とも向き合い、関係を清算した妻を看取り・・・そうして、マットは失いかけていたかけがえのないものに気づくのです。
人は誰しも目先のことにとらわれてしまいがちだけど、真っ直ぐに向き合うことで見えて来るものもある――見た目の豊かさではない、温かな家族、そして己のアイデンティティ。
失ってから判るもの、失いそうになって気づくもの・・・これは、そんな大事な事に気づかせてくれる物語です。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
■出演
マット・キング ・・・ ジョージ・クルーニー
アレクサンドラ・キング ・・・ シャイリーン・ウッドリー
スコッティ・キング ・・・ アマラ・ミラー
（その他のキャスト）
ニック・クラウス ボー・ブリッジス ロバート・フォースター ジュディ・グリア
マシュー・リラード メアリー・バードソング ロブ・ヒューベル パトリシア・ヘイスティ
■コピー
ハワイに暮らしていても人生は<楽>じゃない！
■Ｌｉｎｋ
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