ヤング≒アダルト
これは、３０代、独身女の空回りぶりを描く、コメディ・・・と言うにはあまりに辛辣な映画。
監督は「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマン。
丁度、女性を主役にした「マイレージ、マイライフ」のような痛さのある映画です。
ヒロインのメイビス・ゲイリーは、３７歳、独身（と言ってもバツイチ）、都会（と言ってもミネアポリス）暮らしの作家稼業（と言ってもゴーストライター）。とりあえず、人並み以上の収入はあるし、着飾ればまだまだ男が振り返る美貌の持ち主。
仕事で行き詰った彼女の元に、高校時代の恋人バディから、子供の誕生パーティに誘うメールが届く。
ひょっとして彼は今でも自分に未練があるんだろうか？
彼女は、バディと新しい人生を歩むべく、故郷の街に戻ったのだが・・・
都会暮らしの主人公が、田舎町に行く羽目になり、そこで様々な騒動を起こす「スモールタウン・コメディ」と言う映画ジャンルがあり、この映画は、一見、それをなぞっているように思えます。
しかし、この映画、そんなお気軽コメディで終わる訳がありません。なにしろ、主演がシャーリーズ・セロンなんです。
「モンスター」ほどではありませんが、この映画も、シャーリーズ・セロン、いつも見せない顔を見せます。
それは、３０代女性のリアル。
年齢のせいで衰えた美貌と肉体、さすがに２０代のように素材で勝負できない以上、メイクアップとドレスアップでどうにかする。
そんな様を赤裸々に描きます。
なるほど、３０代の「美貌」ってのはこうやって「作る」のか、と興味深く見ましたが・・・これは、女性にとってはネタばらしもいい所で、居心地のいいものではないのでは・・・？
そして、これはかなり「痛い」映画。
メイビスの勘違いぶりもそうですが、それ以上に痛いのは、都会に出て、成功し、洗練された暮らしを送っていても、独身ならば「負け」。人生の幸せとは、例え田舎暮らしであっても、仲間がいて、伴侶を得て、子供に恵まれることにある。そう言う価値観に、メイビスが気づけない、いや、認めようとしないこと。
確かに、人間、３０年以上生きていれば、そうそう生活や意識を変えられるものではありません。
でも、高校時代のサエないクラスメイトと一晩過ごした後で、まるで、「高校時代」ごと、一連の出来事をまるごとゴミ箱に放り込むようにして、「それまでの日常」に返って行く姿はさすがに痛々しい。
これは、「おひとりさま」のはびこる、今の日本でこそ「痛い」映画になっているように思えました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
■出演
メイビス・ゲイリー ・・・ シャーリーズ・セロン
バディ・スレイト ・・・ パトリック・ウィルソン
（その他のキャスト）
パットン・オズワルト Ｊ・Ｋ・シモンズ エリザベス・リーサー コレット・ウォルフ
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