エンジェル ウォーズ
これは、「３００」、「ウォッチメン」のザック・スナイダーの最新作。
財産目当ての継父によって家族を失い、口封じの為に精神病院へと送られた少女ベイビードール。そこで、記憶を消し、人格を破壊するロボトミー手術を受けさせられる事になってしまう。
この、過酷な現実から逃げ出すべく、彼女は・・・
この物語は要約が難しいです。
ベイビードールがいる現実の「精神病院」、彼女の（恐らくは妄想が）生み出した「娼館」、そして、彼女の内世界の「戦場」、この３重入れ子の世界。これを呑み込めるかどうかが、この作品を理解出来るかどうかの境い目になるのではないでしょうか。
（これが駄目だと、多くの観客のように「物語が判らない」、「ついていけない」と言う事になるかと）
その物語世界で繰り広げられるのは、「３００」同様、いや、それをスケールアップしたザック・スナイダーの映像世界。
「３００」の時にも評された「絵のような映像」、それはよりはっきりと方向性を見せています。
つまり──アニメなんですよ、日本の。
「絵が動く」と言うのは正にアニメですし、緩急取り混ぜ、特に動作の中に「ため」を作る、そのリズムは日本アニメ独特の表現手法。
これを巧みに使いこなすザック・スナイダーのやりたかったこと、この映画は、それがよく判ります。
要は、自分だけの日本アニメが作りたかったんだな、と。
ビジュアルや設定にも、日本アニメの影響を強く感じます。
まぁ、日本刀背負ったセーラー服の少女が主役なのですから、言わずもがなではありますが、ベイビードールと共に戦う４人の少女のキャラクターの描き分けなど、そのままアニメや戦隊ものの設定に持っていけると思うくらいですし、「戦場」第１幕の鎧武者は、ほぼモビルスーツ。
表現手法だけでなく、設定などにも影響をしっかり受けています。
もっとも、動きや設定などに影響は受けていても、ビジュアルはしっかしザック世界。
登場する少女はみんなこってこてのメイクで、身体の方もむっちりしたタイプを揃えています。（某氏の言う「パッツンパッツンのお肉」と言う感じですかね）
まぁ、こうした部分は好き嫌いが分かれるかなぁ・・・
そして、たっぷりとお金と手間暇かけた凝った映像は、さながらザック・スナイダーの映像世界の展覧会と言う所。
スタイリッシュで、しびれるほどに格好のいいカットがいくつもあります。
己の妄想を、現実の女の子使って映像化したんですから・・・これ、作ってる時は楽しかったろうなぁ・・・
暗く、救いのない物語にも思えますが、その実、現実に立ち向かい、明日へ繋がる希望を見せる、いつものザック節も健在。
好き嫌いの分かれる映画だとは思いますが、十分、楽しみました。
PS
これは、大スクリーン、音響設備のいい映画館で、オリジナル音声で楽しみたいですね。
（２回目をアイマックスで観たら印象がかなり変わりましたから・・・）
（４月２０日 １０９シネマズＭＭにて／４月２２日 １０９シネマズクランベリーモールにて（ＩＭＡＸ版））
（作品データ）
■監督
ザック・スナイダー
■出演
ベイビードール ・・・ エミリー・ブラウニング
スイートピー ・・・ アビー・コーニッシュ
ロケット ・・・ ジェナ・マローン
ブロンディ ・・・ ヴァネッサ・ハジェンズ
アンバー ・・・ ジェイミー・チャン
（その他のキャスト）
カーラ・グギーノ オスカー・アイザック ジョン・ハム スコット・グレン
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お前の世界は自由か。
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