世界の中心で、愛をさけぶ

　これは、この春、映画公開された、片山恭一の大ベストセラー、「世界の中心で、愛をさけぶ」を、一井かずみがマンガ化したもの。

　物語は・・・原作小説を忠実に追いかけたもの。
　連載２回、ちょっと薄目の単行本１冊の本作ですが、元々の小説もそれ程長い小説ではなかったので、端折る感じもなく、上手くマンガ化出来ていると思います。
　もっとも、その物語は、一井かずみの受け止めた、「世界の中心」を描くもの。
　そこを明らかに描写せず、正に「行間を読む」ことを要求する原作小説に対し、そこを明確に描いてしまう本作は、小説とマンガと言う、メディアの違いからしてやむを得ない部分もあるとは思うのですが、判断は分かれるかも知れません。
　（はらは、この、一井かずみの解釈は好きですが）

　マンガの作風は、少女マンガタッチですから、これは、男性だと最初は戸惑うかもしれません。
　また、全体的に現代的にアレンジされているのも、気になるかな。
　登場人物の言葉使いなど、現代っ子調になっていますし。

　あと、映画のファンだと、見過ごせないと思われる一言があります。(^^;
　（まぁ、これが連載されたのが、若年齢向けレディースコミック誌、と言う事もあるのでしょうが・・・）

　もっとも、原作同様、終盤の泣ける展開と盛り上げ方はなかなか。
　一井かずみ自身、泣きながらネームを書いたと言う終盤の展開には、やはり目頭が熱くなります。

　（２００４年５月２０日読了）

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