チェ
３９歳 最後の手紙
キューバ革命の英雄、エルネスト・チェ・ゲバラの半生を描く伝記ドラマ２部作の第二弾。
フィデル・カストロと共に戦い、キューバ革命を成功へと導いたチェ・ゲバラ。カストロに次ぐキューバ革命政権のナンバー２になったゲバラだが、彼は一通の手紙を残してキューバから姿を消してしまう。
妻子も、革命政府の役職も、革命の英雄としての名誉も捨て、彼は軍事独裁政権下のボリビアへと向かい、革命を目指すゲリラ部隊と共に、再び戦いへ身を投じるが・・・
第１部「チェ ２８歳の革命」は、無名の若者が革命戦争の英雄になる物語でしたが、この第２部は、革命の英雄だった男が再び無名のゲリラ兵に戻り死んでいく物語です。
貧しい若者たちがアパートの一室で始めた革命論がどんどん規模を拡げて、ついには一国の体制を覆してしまう第１部の華やかさは、この第２部にはありません。
ボリビアで、ゲバラは失望や落胆、思惑違いの状況に出くわします。現地の人々の支持は得られず、現地で味方してくれるはずだった活動家たちの支援も得られず、仲間は次々に倒れていきます。
第１部は徹底したゲバラの一人称で描かれていましたが、この第２部ではゲバラの国内出現に戸惑うボリビア政府内部の様子や、ボリビア政府を支援するアメリカの動き、ゲバラと共に戦った別動隊の様子なども並行して描き、ボリビアでのゲバラの動きを立体的に描こうとしています。
しかし、これがわかり易さや、映画としても盛り上げに役立っているかというと、そうはなっていません。
第１部同様、映画的な創作を排除し、実在した出来事だけを再構成して全体像を描こうとする姿勢は変わらず、この英雄の死を映画はドラマチックに描こうとしないのです。
そして、彼をそうさせた理由を描かず、彼の心情を代弁する事もなく、ただひたすらに彼がどう生きたのかを描く。
でも、それでよかったのでしょう。
嵐のような社会主義革命が吹き荒れた時代は過ぎ去り、チェ・ゲバラの存在は英雄から偶像になりつつある現在、監督は、チェ・ゲバラが、ひとりの男として生きた姿を、彼に取り戻したと言えるのですから・・・
（２月８日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
スティーヴン・ソダーバーグ
■出演
エルネスト・チェ・ゲバラ ・・・ ベニチオ・デル・トロ
フィデル・カストロ ・・・ デミアン・ビチル
（その他のキャスト）
カルロス・バルデム ヨアキム・デ・アルメイダ エルヴィラ・ミンゲス フランカ・ポテンテ
カタリーナ・サンディノ・モレノ ロドリゴ・サントロ ルー・ダイアモンド・フィリップス マット・デイモン
■コピー
信念は、死なない。
■Ｌｉｎｋ
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