レッドクリフ
Ｐａｒｔ．Ｉ
これは、ジョン・ウー監督が「三国志」の有名な激戦「赤壁の戦い」を映画化した、歴史スペクタクル。
中国映画として空前の規模の大作ですが、それも当然でしょう。
何しろ、映像にするのは、“あの”「三国志」なのですから・・・
西暦２０８年。
漢帝国の実権を握った曹操は、残る宿敵、劉備征討へと大軍を進めていた。劉備軍には、趙雲、関羽、張飛ら猛将と優れた軍師・孔明がいたが、民を守るため敗退。
曹操軍に対抗するには、敵軍である孫権と同盟するしかないと考えた孔明は・・・
アメリカ、中国、日本、台湾、韓国から総額１００億円の製作資金を集め、中国、台湾、日本、モンゴルから集めた豪華キャストで映画化された本作は、アジアだけでなく、欧米市場をも視野に入れて作られているように思います。
そのひとつの例が、この戦いの「三国志」が持つ中国古代史の複雑な政治状況に求めず、ひとりの美女を巡る戦いという、いわば中国版「トロイ戦争」にしていることでしょう。
この設定は、「三国志」に馴染みのない観客を、容易に物語に引き込む為の工夫として、有効に機能していると思います。
勿論、関羽・張飛と言った、「三国志」でお馴染みの名将たちは、原作通りのイメージで、しかも、その活躍もイメージのまま。これは嬉しくなります。
（しかし、劉備、関羽、張飛の３人が「脇役」と言うのは寂しいと言うか勿体ないと言うか・・・）
この映画は「赤壁の戦い」を前後編２作に分けて描きます。勿論、クライマックスの「赤壁の戦い」は後編のお楽しみで、前編となる本作は、その前哨戦となる陸戦がクライマックスになります。
長江に大船団で布陣した曹操が、それを囮として密かに進軍させていた陸上部隊の存在を読んだ孔明が、巧妙な罠を仕掛けて曹操軍を殲滅するのです。
陣形に拘るのは古いと、甘興を批判した孔明ですが、「しかし、古いから駄目だと言う事もない」と、堅陣を組む事を採用して甘興をニヤリとさせ、圧倒的多数の敵軍を迎え撃つ。
ここは、孔明の巧みな戦術、そして、各武将の奮闘ぶりが見せ場になります。
趙雲、関羽、張飛らの名だたる武将が、敵の雑兵を片端からなぎ倒して行く辺りのシーンは、正に「三国無双」の実写版と言う所。勿論、これはこれで痛快なシーンです。
この映画、当初は周瑜役にはチョウ・ユンファが予定されていたのですが、撮影開始直後に彼が降板。元々、孔明役でキャスティングされていたトニー・レオンが代役となり、空いた孔明役に金城武が入ったというドタバタがあったそうです。
クライマックスので周瑜のアクションシーン、トニー・レオンには似合わないよなぁ、と思いましたし、孔明役の金城武がどうも聡明に見えない、と言う所に違和感があったのですが、なるほど、と言う感じです。
（当初予定のキャストで観てみたい、と言うのは贅沢でしょうか）
いずれにせよ、未だ映画は完結しておらず、本当の見せ場は後半にあるはず。しかしこの前半、なかなかのボリュームで、これだけでも結構、お腹一杯、と言う感じです。
（１１月８日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
ジョン・ウー
■出演
周瑜 ・・・ トニー・レオン
孔明 ・・・ 金城武
（その他のキャスト）
チャン・フォンイー チャン・チェン ヴィッキー・チャオ フー・ジュン
中村獅童 リン・チーリン ユウ・ヨン ホウ・ヨン トン・ダーウェイ
ソン・ジア バーサンジャプ ザン・ジンシェン チャン・サン
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信じる心、残っているか。
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