言えない秘密
不能説的・秘密
これは、台湾のスーパースター、ジェイ・チョウが自ら監督して撮ったファンタジックな恋愛映画。
ジェイ・チョウは、確かに多才で、この映画では、監督・原案・音楽・主題歌を務め、しかも、当然のように主演、更に、映画で重要な要素を占めるピアノ演奏も吹き替えなしの本人がこなしている、と言うのですから、その多才な、しかも、確かな才能には舌を巻きます。
なるほど、これは確かに“スーパー”スターです。
しかし、今回、はらが、注目したのはそこではなく、実は、ヒロイン役のグイ・ルンメイがお目当てだったんです。
「藍色夏恋」で、清潔で繊細で、独特な雰囲気を持って観客を魅了したグイ・ルンメイがどんな姿を見せてくれるのか。それが楽しみで観に行ったんですから、これ。
音楽学校へ転入して来たシャンルン。
彼は、解体の迫る旧校舎から流れる美しいピアノの旋律に導かれ、ひとりの少女と出会う。
ピアノの演奏力の高さだけでなく、周囲の生徒とは隔絶した雰囲気を持つ、神秘的な彼女、シャオユーに惹かれるシャンルン。
だが、喘息持ちのシャオユーは段々学校に来なくなり、やがてある事件をきっかけに姿を消してしまう・・・
これ、音楽を絡めた恋愛映画だと思って観始めましたが（何せ、グイ・ルンメイが出てる、と言うだけで観に行ったので予備知識ゼロ）、どうもムードがおかしい。
これは、シャオユーの正体にひとひねりあるぞ、と思っていましたが、物語は更にもうひとひねりした感じ。
なるほど、これを初監督作でやるのか・・・
ジェイ・チョウと言う男、確かにタダもんじゃないですね。
謎明かしの説明がクドいとか、手際が悪いとか、パラッドックスの解決法がすっきり来ないとかありますが、まぁ、そこは初監督に免じて甘く見ましょう。
（まぁ、グイ・ルンメイに会わせてくれただけでも相当ポイント稼いでいるんですが、この映画は）
グイ・ルンメイは、映画撮影当時に２３歳と言う事で、大分、大人っぽくなりました。
その分、女らしくもなり、「藍色夏恋」の時のような中性的な感じは薄れましたが、持ち前の透明感と清潔感は嬉しい事に変わっていません。
白目の部分がくっきりと目立つ、大きな目が印象的な顔立ちですが、あらためてスクリーンで見ても、その美貌が際立つ訳ではないんですね、彼女は。
実際、サブヒロインを演じたアリス・ツォンの方が美人だと思います。
だけど、グイ・ルンメイは違うんだなぁ・・・
キスシーンひとつ例に上げても、アリス・ツォンの場合、どうしても官能的になるけど、グイ・ルンメイの場合、官能的な感じが殆どしないのですね。そこに居るんだけど、生の“肉体”を感じさせない、そんな不思議な雰囲気の女性です。
映画は、種明かしをした後、シャオユーには辛い展開が続き、そして悲劇的な結末を迎えてしまうのですが・・・そこはスーパースターのジェイ・チョウ、その状況を、ひっくり返してしまいます。
まぁ、その強引とも言えるハッピーエンドはやり過ぎのようにも思えましたが・・・最後にグイ・ルンメイの笑顔が見られたので、それもよしと言う事にしたいと思います。
（８月３１日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
ジェイ・チョウ
■出演
シャンルン ・・・ ジェイ・チョウ
シャオユー ・・・ グイ・ルンメイ
（その他のキャスト）
アンソニー・ウォン アリス・ツォン
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もう会うことができなくても あなただけには伝えたい。
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