カンフー
パンダ
これは、ドリームワークスによる３Ｄ・ＣＧアニメです。
その主役は「パンダ」、舞台は（多分）中国。
北京オリンピックを当て込んで作った訳でもないのでしょうが・・・まぁ、タイムリーですよね。
カンフーの聖地、翡翠城。
そこに、恐るべき知らせが飛び込んでくる。かつてカンフーを学んだものの悪の道に踏み込んだタイ・ランが、幽閉されていた刑務所を脱走したのだ。ウーグウェイ導師はタイ・ランに対抗するため、最強のカンフー戦士「龍の戦士」を選ぶ時が来たと告げる。
カンフーの達人シーフー老師は、この日のため”マスター・ファイブ”と呼ばれる５人の愛弟子を鍛え上げてきた。
しかし、龍の戦士となる者として導師が指し示したのは、デブで食いしん坊のラーメン屋の息子、パンダのポーだった・・・
これ、「シュレック」を作ったドリームワークスのアニメですが、やはり、ドリームワークスのアニメはひと味違う。
この映画、見かけのコミカルさの陰に、大人を唸らせる深いテーマを持ち、なかなか見応えのある映画になっています。
父と子・・・いや、この映画の父子関係はいずれも血が繋がっていないので、擬似的な父子関係になった師弟関係とでも言うべきかもしれませんが、その愛憎のドラマを２重、３重にして示し、そして、人を信じる事の大事さを説く。
こうしたドラマもしっかりしていますが、その中心にあるのは、「自分を信じる」と言うこと。
力は、他人から与えられるのではなく、自分の中から引き出す。
シーフー老師は、ポーを鍛えるに当たり、「型にはめる」のではなく「潜在能力を引き出す」ようにしました。
力は与えられるものではなく、自分を変えて引き出す。それを変えるのは、自分自身なのです。
それを示すのは、カンフーの奥義、「龍の巻物」の内容。
そこに何があったのか。
その意味する事を、シーフー老師さえ示せずにいる所を、ラーメン店の師匠に気付かされると言う展開も心憎い。
そして、その奥義を知ったポーが、それを理解出来ない、タイ・ランに負ける訳がありません。
「その技・・・師匠に習ったのか？」
「いや、自己流さ」
本当の強さは「自分自身」。しかし、人は、誰でも、本当の「自分」に出会うことはできません。
自分を信じることを教え、そして、自分の能力を引き出すように導いてくれる人がいて、人は初めて己の才能を開花させる事が出来るのです。
これは、なかなか考えさせられるテーマでした。
ＣＧアニメで、しかも動物を描きながら、”人間”を描く事を忘れない。こうした部分がしっかりしているからこそ、豪華なキャストも活きて来る、と言うもの。
主演はジャック・ブラックだけど、その脇を固めるのが、ダスティン・ホフマンにアンジェリーナ・ジョリー、ルーシー・リューに、ジャッキー・チェンですよ。実写でやったらとんでもないキャストです。
これは、思っていた以上にいい映画でした。
うん。これはよかった。
（８月１日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
マーク・オズボーン／ジョン・スティーヴンソン
■出演
ポー ・・・ ジャック・ブラック,
シーフー老師 ・・・ ダスティン・ホフマン
（その他のキャスト）
アンジェリーナ・ジョリー イアン・マクシェイン ルーシー・リュー ジャッキー・チェン
セス・ローゲン デヴィッド・クロス ランダル・ダク・キム ジェイムズ・ホン
ダン・フォグラー マイケル・クラーク・ダンカン
■コピー
自分を信じろ。
■Ｌｉｎｋ
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