紀元前１万年
これは、「インディペンデンス・デイ」や「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ監督の新作。
紀元前１万年、歴史が生まれる前の物語です。
山間の狩猟民族ヤガルが暮らす村に、武装集団が襲いかかった。彼らは村人を捕縛すると、連れ去って行った。
難を逃れた若者、デルーは、連れ去られた恋人のエバレットを取り戻す為に、襲撃者を追う旅に出る・・・
この映画・・・元はシンプルな物語をいじくり回しておかしくしてしまった恒例だなぁ、と思います。
元の物語は、狩猟生活を送る村の若者が、村を出、広大な世界を見、そして、穀物のタネを持って村に帰る、と言うもの。
恐らく、世界中の幾つも類似の物語があるのではないでしょうか。
（宮崎駿も、そうした話を元に「シュナの旅」を描いています）
そこに、少年から大人になっていく主人公の成長と、友情・信頼・勇気を重ねて描く・・・素直にやれば面白くなる物語を、これはちょっとやりすぎたのではないでしょうか。
まず、地理感覚が滅茶苦茶だし、紀元前１万年にピラミッド、そして金属器・・・この２つ出すのなら、紀元前３千年くらいに設定しないとおかしい。
マンモスや剣歯虎出したいのであれば、それは諦めて貰わないと。
（まぁ、ファルコラスティコ出してる時点でどうでもいい気がしますが）
しかも、アトランティスまで盛り込んでいるのですから・・・もう、唖然。
更に、最後に主人公が手にする種は・・・何と、トウモロコシ！（これは南米原産で、欧州に入って来るのは１６世紀以降）
・・・お願いですから、もう少し考証に気を遣って欲しいです。
また、殆ど同じ内容で、「アポカリプト」と言う結構頑張った映画が既にあるのに、それ以下の物語と時代考証で、映像の迫力を売りにやっていけるのか、と言うと正直疑問。
確かに、目前に出現する”誰も見たことのない世界”は圧巻だし、映像の迫力と美しさは「アポカリプト」を凌ぐけれど・・・
まぁ、でも、それがエメリッヒ監督だ、と言う意見にも同意しますけどね。
（４月２７日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
ローランド・エメリッヒ
■出演
デルー ・・・ スティーヴン・ストレイト
エバレット ・・・ カミーラ・ベル
（その他のキャスト）
クリフ・カーティス オマー・シャリフ
■コピー
誰も見たことのない世界は、「過去」にあった。
■Ｌｉｎｋ
［戻る］