「キッド」　

　本日は、「キッド」を観て来ました。
　「シックス・センス」に続き、またも子役相手の主演はブルース・ウィリス。
　この映画は現代を舞台にしたファンタジーです。

　ブルース・ウィリス演じる主人公のラス・デューリッツは、やり手のイメージ・コンサルタント。
　業績は上々で、豪邸に住み、高級車を乗り回すが、妻子はおらず、分刻みのスケジュールに追い回される毎日。
　そんな彼の前に、ひとりの少年が現れる。
　少年の名は、ラスティ・デューリッツ。彼は、３２年前のラス自身だった・・・

　殆どの人が、子供の頃に思い描いていた大人にはなれない。
　子供の頃の夢だった、宇宙飛行士にも、プロ野球選手にも、スターにもなれず、多くの人はその「夢」自体も忘れてしまう。
　そうして大人になった自分の前に、「夢」を持った、子供の頃の自分がやって来る・・・これは大人なら、誰もが自分の人生に重ね合わせて、何かしら感じる部分がある筈で、これはなかなか面白い題材を選んだ、と思いました。
　
　ただ、この映画、その題材の魅力を活かし切れていない所に不満が残りました。
　この映画、主人公の元へ、過去の自分がやって来る訳なんですが、実は、その他に「あるべき自分」も来ているんです。
　その構成が判りにくいのと、過去の自分がどうやったら、”元の世界”に戻れるか、それもはっきりしていない。
　その為、「封印された記憶」を思い出して、過去の世界に主人公が飛び込んだ時にも、トラウマとなった事件を解消しても、今ひとつ盛り上がりに欠け、カタルシスを覚える迄に行かなかったのです。
　ラスト近くの「あるべき自分」との出会いもなんだか唐突に感じられてしまいました。
　ラストシーンも、閉じられた青いドアが青空になって、その向こうに、主人公が乗った赤い飛行機が消えていく・・・として欲しかったんだがなぁ。(^^;

　ブルース・ウィリス、アクション・スターらしいがっちりした肉体をキチンとしたスーツに包んだ時の格好よさはなかなかです。
　しかも、いたずらっぽい瞳に少年っぽさがあって、「夢をどこかに置いて来た、身体だけ大人になった少年」と言う、今回の役は正にハマり役。
　しかし、この映画、一番の好演は、少年時代のラスを演じた、スペンサー・ブレスリンではないでしょうか。(^^)
　デブっちょで、ウスのろ、いつもヘマばっかしている、と言う典型的なイジメられっ子ながら、その身体の中には、いっぱい夢を抱え込んでいる、かつての少年時代を振り返った時、誰もが感情移入し易いであろう、その姿を見事に体現していました。
　また、この映画のヒロインのエミリー・モーティマーは、どことなく子犬を連想させる、いつも半べそかいているような表情が印象的で、少年時代「犬を飼いたかった」と言う”犬派”のラスが惚れてしまうのに納得、と言う所かな。

　物語としては悪い話ではない、と思うものの、感動して泣ける、と言う感じではありませんでしたし、それは周囲の観客も同様だったみたいです。
　・・・うーむ、これは宣伝に上手くノせられてしまったかな。(^^;

　（９月２４日　みなとみらい・ワーナーマイカルシネマズにて）

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