ライラの冒険
〜黄金の羅針盤
これは、フィリップ・プルマンのファンタジー小説「ライラの冒険」シリーズを、、「アバウト・ア・ボーイ」のクリス・ワイツが脚色・監督して映画化したもの。
原作はこの「黄金の羅針盤」を第１部とする３部作で、映画も続編が予定されているようです。
この映画の舞台となるのは、我々の世界と似ているが異なる平行世界。そこは、動物の姿を借りた人間の魂、”ダイモン”が常に人間と共に行動する、と言う世界。
孤児として、大学の保護の元に育った少女ライラはある日、学長より真実のみを示すという「黄金の羅針盤」を託される。
それは、彼女の冒険の始まりだった・・・
この映画、設定やビジュアルは凝っているし、エピソードが山盛り。それを手際よく見せていく巧さは感じるのですが、不思議と映画を観終えた後の充実感が乏しいのです。
長い原作を２時間以内にまとめるため、かなり展開が駆け足になっているのは判りますが、テンポが早すぎて、せっかくのサスペンスにハラハラドキドキする暇も余裕もない感じです。
勿論、原作のファンにしてみれば周知の物語を見事な映像にしてくれる事で満足感はあるのでしょうし、脳内での補完も出来るでしょう。
でも、映画を独立した作品と捉えた時これはちょっと弱いような気がします。
「ハリー・ポッター」のように現在進行中の作品の映画化ではなく、原作は完結しているのですから、ここは映画の完成度も上げるべく、もう少し、大胆な脚色が必要だったのではないでしょうか？
ただ、この映画、ヒロインと言うか、主役のライラのキャラクターが秀逸。
物語の主人公として、聡明なのはよくあることですが、このライラの取り柄は、「嘘とハッタリ」なのです。
物語、特に子供向けの要素もあるファンタジーで、主人公が「嘘吐き」と言うのはなかなか大胆。
しかも、ライラは、物事の真実を指し示す「黄金の羅針盤」を持つ。
これでもう、鬼に金棒です。
「嘘と真実」を武器に戦うヒロイン・・・これはなかなか面白い設定。
そして、そのライラを見事に演じたダコタ・ブルー・リチャーズ。
少女らしい純真さだけでなく、豪放な勇気と、巧妙な嘘、駆け引きにおける勝負強さ・・・聡明かつ狡猾なヒロインを具現化したその存在は、今後の成長も含め、期待大。
次作以降の活躍にも期待したい所です。
（２月２４日 ＭＯＶＩＸ本牧にて）
（作品データ）
■監督
クリス・ワイツ
■出演
ライラ ・・・ ダコタ・ブルー・リチャーズ
（その他のキャスト）
ニコール・キッドマン サム・エリオット エヴァ・グリーン クリストファー・リー
トム・コートネイ デレク・ジャコビ イアン・マッケラン イアン・マクシェーン
フレディ・ハイモア キャシー・ベイツ クリスティン・スコット・トーマス
ベン・ウォーカー サイモン・マクバーニー ジム・カーター クレア・ヒギンズ
ジャック・シェパード マグダ・ズバンスキー ダニエル・クレイグ
■コピー
その針は教えてくれる。
■Ｌｉｎｋ
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