愛の流刑地
これは、中高年層男性を中心に絶大な人気を誇った渡辺淳一の同名小説を、ＴＶドラマ演出のベテラン、鶴橋康夫が映画化したもの。
ある朝、かつての流行作家が情事の果てに不倫相手の人妻を絞殺したと自首し、逮捕された。
担当の女性検事は、作家の「愛しているから殺した」という言葉に困惑しながらも事件の真相に迫っていく・・・
はじめて恋をした少年のような振る舞いを自然に見せた豊川悦司、坂を転がり落ちて行くように速度を増していく人妻の熱情を表現した寺島しのぶは、ともに好演と言っていいでしょう。
生臭くなりがちなラブシーンを、幻想的とも言える程に美しく描いたのも、さすがはＴＶに慣れたベテランの仕事。
確かに、いささか古さは感じさせますが、これをメロドラマの”芸”と考えれば、これはこれでアリだと思います。
ただ、気になったのは裁判シーン。
まぁ、演出と言ってしまえばそれまでですが、あまりにリアリティを度外視した裁判の様子は、リアリズム追及した「それでもボクはやってない」と較べられるものではないのは勿論、裁判のサスペンスも盛り上がらず、大仰な臭い演技（特に目立ったのは仲村トオル）ばかりが目立ち、映画の完成度を引き下げているとしか思えません。
また、検事役の長谷川京子のインパクトも強烈。思わずドキリとするような露出度のファッションにお色気過剰の演出、それに棒読みのセリフが映画そのものを破壊しかねないものだったと思います。
（１月１９日 キネカ大森にて）
（作品データ）
■監督
鶴橋康夫
■出演
村尾菊治 ・・・ 豊川悦司
入江冬香 ・・・ 寺島しのぶ
（その他のキャスト）
長谷川京子 仲村トオル 佐藤浩市 陣内孝則
浅田美代子 佐々木蔵之介 貫地谷しほり 松重豊
余貴美子 富司純子 津川雅彦 本田博太郎
■コピー
もう、だれにもさわらせない。
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