インビジブル ２
これは、ポール・バーホーベン監督による「透明人間」のリメイク、「インビジブル」の続編。
ただし、この映画、バーホーベンは製作総指揮と言う立場となり、監督は、クラウディオ・ファエが務めています。
華やかなパーティー会場にて、ひとりの男が首を切られて殺された。
現場には、裸足で殺害に及んだと思われる犯人の足跡が残されていたが、犯人の姿を見たものは誰もいない。
通報を受けて、相棒と共に現場に駆けつけたフランク・ターナー刑事だが、事件に介入してきた軍の高官から、退去を命じられてしまう。
やむなく署に戻ったターナーは、軍の要請により、犯人が次に狙うとみられる生物学者、マギー・ダルトン博士の警護を命じられたのだが・・・
前作、「インビジブル」、これ、はらは結構好きな映画です。
映画としては、作りのいいＢ級で、バーホーベン監督ならではのエロとグロと残酷描写（それでも、レイティングを考慮してかなり切っていると思う）が目立つ作品ですが、「透明人間」となった人間は、”他人の視線”から無縁となる事で、その倫理観が崩壊してしまう、と言う視点が秀逸。
人間は、お互いに「見られる」事によって「人間性」を保っているのだ、と看破して見せた辺り、これは人間の本質に迫る、なかなかのものだったと思うのです。
で、今回の作品、バーホーベンがメガホン握らず、公開規模が妙に小さいのが気になりましたが、Ｂ級に徹するならそれはそれでよし、Ｂ級と割り切り、レイティングを無視すれば、それはそれで見応えのある映画になるのでは、と期待をしたのですが・・・正直、これは期待外れでした。
確かに、面白くなりそうな要素はあるんです。
ほぼ、研究所施設内が舞台だった前作に対し、透明人間が街中に飛び出すのも悪くないし、透明人間同士の戦いとなるクライマックスも展開としては面白い。
また、普通の人には居場所の掴めない透明人間が、盲人には（正に目が見えない故に）、気配によって、普通の人間同様にそこに居る気づかれてしまうなど、「なるほど！」と思えるアイデアも盛り込まれています。
ただ、これは頂けませんでした。
予算の関係か、前作で特徴的とも言えた、透明化のプロセスのビジュアルはカットされ、しかも、この映画では透明人間は、最初っから透明で暴れ回っている。
これでは、普通の人間が、透明化する事で倫理の締め付けが外れ、モンスター化する、と言う、前作で、もっとも見応えのあった点を捨て去ってしまったようなもの。
では、せめて、前作ではまだまだ控えめだった（バーホーベン監督にしては）、エロと残酷描写をもっとエグく描くか、思い切ってホラーにすればよいのに、その辺りも中途半端。
せっかくの素材を台無しにしてしまったような、何とも勿体ない仕上がり。
ラストは、まだ続編が出来そうな思わせぶりな感じでしたが、この出来では、次はもうないだろうなぁ・・・
（１月６日 銀座シネパトスにて）
（作品データ）
■監督
クラウディオ・ファエ
■出演
フランク・ターナー ・・・ ピーター・ファシネリ
マギー・ダルトン ・・・ ローラ・レーガン
（その他のキャスト）
クリスチャン・スレーター
■コピー
制御不能――。
■Ｌｉｎｋ
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