キング・コング

　これは、１９３３年に製作された名作映画「キング・コング」を「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、最新の映像技術でリメイクしたもの。
　ピーター・ジャクソン監督自身、１９３３年のオリジナル「キング・コング」を観て映画製作を志したと言い、そのリメイクは、監督、悲願の企画でした。
　映画は非常に力の入ったものになり、上映時間、実に１８７分。制作費も当時史上最高の２４８億円と言う、空前のスケールで描かれた大作です。

　１９３３年。構想中の冒険映画撮影のため、監督のカール・デナムは、無名の新人女優アン・ダロウ、売れっ子の舞台脚本家ジャック・ドリスコルらと共に、伝説の島「髑髏島」へと向かう。
　だが、ようやくたどり着いたその島で、アンが原住民にさらわれてしまい・・・

　その物語は、既に知られていますし、巨大ゴリラ「キング・コング」も知識としてはお馴染み。
　ところが、上映時間の１８７分間、新鮮な驚きと興奮が次々と押し寄せて来る、これぞ「リメイク」。これこそ、ピーター・ジャクソンが納得出来る「キング・コング」なのでしょう。
　驚異の映像と監督の情熱が生み出す、迫力の映像。
　これは、文句なしに素晴らしい出来栄えです。

　そして、映像だけではない、心震わせるドラマを“コング”に吹き込んだのもこの映画のいい所。
　“コング”は、「髑髏島」の巨大ゴリラ、最後の１頭なのです。孤独で、荒んだ彼の前に現れた、かよわく美しいもの。その美しいものと、心を通わせ、悲しくも美しい風景に共に感動した。
　その時、彼は生まれて初めて、自分が“守るべきもの”を得たのです。
　この美しくも悲しいドラマ、巨大な野獣の心に灯った小さな明かりを描いた事で、この映画は傑作になりました。

　これがあるから、“コング”のその後の戦いが活きて来ます。
　「やつを殺したのは飛行機ではない、女だ」と言う台詞がありますが、それでも守るべきものを得て、その為に死んだ“コング”は立派なヒーローでした。
　ピーター・ジャクソンは、“コング”を怪物ではなく、ヒーローにしたのです。

　（月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ピーター・ジャクソン　

　■出演

　アン・ダロウ　・・・　ナオミ・ワッツ

　ジャック・ドリスコル　・・・　エイドリアン・ブロディ
　カール・デナム 　　　 ・・・　ジャック・ブラック

（その他のキャスト）
　トーマス・クレッチマン　　コリン・ハンクス　　ジェイミー・ベル　　イヴァン・パーク
　カイル・チャンドラー　　アンディ・サーキス

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伝説が蘇る。

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