電車男

　週末、バイクのフェンダー塗装でもやろうと思っていたのだけど、土曜の雨で湿っぽく（湿気は塗装の敵）、断念。
　天気もいまいちだったので、朝、ちょいと遅めに起きてから、みなとみらいの１０９シネマズに映画を観に行く事にしました。
　映画は、「電車男」。
　匿名掲示板「２ちゃんねる」で話題となった、”オタク男”の純愛物語を映画化したものです。

　主人公の”電車男”は、彼女いない歴２２年の２２歳。
　いわゆる「オタク」な彼は、週末恒例の秋葉原巡りからの帰りの電車の中で、酔漢に絡まれていた女性を助ける。
　そのお礼に高価なティーカップを貰ったものの、女性からプレゼントを貰った事もない彼は、どうしていいか判らない。
　そこで、彼は出入りしている「２ちゃんねる」の、モテない男どもが集う「独身男性板」で助けを求めるが・・・

　「２ちゃんねる」で話題となった「２１世紀最強のラブストーリー」。
　その経緯をまとめて書籍化した「電車男」は、昨年１０月に出版されるや大ヒットを記録。更に、５誌でコミックスが同時進行する異例の事態となり、３月には舞台劇、そして、今度は映画化。その上、ＴＶドラマ化もされる、と言う状況となっています。
　昨年、「世界の中心で、愛をさけぶ」がブームとなっていた時、ＳＦ翻訳家の大森望氏が「『セカチュー』が３００万部売れるのなら、コレは３億部売れる」と言っていましたが・・・それも冗談ではないような勢いとなってきました。(^^;

　書籍版の「電車男」は、まとめサイトのまま（つまり、「２ちゃんねる」の書き込みのまま）、と言う、芸がないとも言える内容でしたが、さすがに映画となるとそうもいきません。
　ここをどうアレンジするのか、不安半分、期待半分でいたのですが・・・これはなかなかうまく映画にしたと言えるのではないでしょうか。
　匿名掲示板の様々な書き込み。その向こうにも様々な想いを抱えた人がいて、キーボードを叩いていると言う、ネットワークにおける忘れてはいけない大事な事を、きちんと描いた辺りは好印象。
　「２ちゃんねる」の規模を考えると、ネットの向こう側で顔の見える人が少ないのが気になりましたが・・・まぁ、これは作劇上の都合で仕方ないでしょうか。あまり人数を増やしてもひとつひとつのドラマが希薄になってしまいますが、この辺り、登場している人は、多くの書き込み者の代表である、と言う感じがもっとあるとよかったように思います。

　”エルメス”を演じた中谷美紀は、これはもうズバリのキャストではあるのですが・・・メイクのせいか、ちょいと老け顔に映っていて（目尻の小皺が・・・(-_-;)）、”電車男”との歳の差が実年齢以上に開いて見えてしまうのが残念。
　”電車男”は、山田孝之で、正に、何か乗り移ったような挙動不審ぶりに思わず笑ってしまいますが、山田孝之、絵に描いたようなオタクぶりは冒頭のみで、髪を切って着替えてしまえば、これはどちらかと言うと”イケメン”で、これならモテるのも当然、と思えてしまうのがなぁ・・・
　これだと、元々の「電車男」が持っていた、「イケてないオタクが純愛する」と言う、奇跡の物語の色合いを薄めてしまうようで、ちょっと気になりました。

　映画は、中盤まではオリジナルに忠実に進みますが、後半、ふたりのすれ違いと、”電車男”の絶望と、捨て切れない想いを描くのは映画独自の展開。
　これはなかなか感動的な展開ではありましたが・・・でも、オリジナルの「大人のキス」を見たかったよなぁ、と思うのはやっぱり贅沢でしょうか。

　クライマックス、「人はひとりでは生きられない」と言うのは、まぁ、当たり前ではあるけれど、やはり感動します。
　そして、それは同時に、ちょっと胸が痛くなるようなものでもあったのですが・・・

　ちょっとクサく感じられる所もあるけれど、最後に感動、ラストシーンもさわやかに締めて、これはなかなかの出来映え。
　うん、これは確かにいいぞ。

PS
　エンドクレジットの後、今度はＴＶドラマ版の予告が・・・
　すっかり「イケてないオタク」を脱した山田孝之が格好よく締めて、これでバトンタッチ、か。（＾＾）

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