エターナル★サンシャイン

　土曜日、休日出勤してから、例によって映画を観に行く事に。
　映画館は、ＴＯＨＯシネマズ海老名。
　結局、これも時間ギリギリに滑り込みましたが・・・公開初日、土曜の夜だと言うのに館内はガラガラ。
　・・・まぁ、これ、本来は単館上映するような映画だから、こうなるのも仕方ないかな？
　（単館公開するような映画をシネコンでも上映してくれる事自体はありがたいのですが・・・商売上どうなのか、チト心配(^^;）

　これは、ミシェル・ゴンドリー監督による愛の物語。
　しかし、脚本は「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマンですから、ありきたりのラブロマンスに収まる訳がありません。(^^;

　バレンタインの朝をひどい二日酔いで迎えたジョエルは、会社をサボって季節外れの海辺に向かい、そこでひとりの女性に出会う。
　彼女の名はクレメンタイン。
　無口で人付き合いの下手なジョエルと、気まぐれで人なつっこいクレメンタインは、まったく違う性格だけど、なぜか彼女と一緒にいることに心地よさを感じて・・・

　この映画の特徴的なアイテムとなるのが、「記憶除去治療」。
　勿論、架空の治療ですけど、消してしまいたい記憶をごっそり消去してしまう精神治療として登場します。

　ジョエルと別れたクレメンタインは、この、記憶除去治療でジョエルの記憶をすべて消し去ってしまいます。
　それを知ったジョエルは大ショック。
　ジョエルはまだクレメンタインとやり直せると思っていたのに、彼女は自分の人生から自分の存在を抹消してしまったのです。
　そのショックに耐えきれず、ジョエルもクレメンタインの記憶を消し去るべく、記憶除去治療を受けるのだけれど、治療の過程で自分の記憶の中を覗き込んだジョエルは、自分がいかにクレメンタインを愛していたかを知るのです。
　次々に消されていく彼女との思い出。
　今になって判る大切な思い出と、自分の中の彼女を守る為、ジョエルは必死で抵抗するのです。
　それも及ばず、彼女の思い出は次々に消されてしまい、目覚めてからの再会を誓うものの・・・ジョエルとクレメンタインの元に残ったのは、皮肉な事に、記憶を消す前に吹き込んだ、お互いの悪い点だけをあげつらったテープ・・・

　恋の始め、お互いのよい所を好きになり、恋の終わりには、気に入らない所、悪い所だけが目に付きます。
　しかし、その間に人が変わってしまう訳ではなく、見てるものが同じでも見えるものが違う、それだけのこと。
　この映画は、そんな恋愛感情による人の心の変化を、少々の皮肉を入れながら描くのです。

　「無口で退屈」と言うジョエルを演じるのは、ジム・キャリー・・・って、全然、役とあっていないような。(^^;
　（いや、抑えた感じながらかなりの好演ではあるのですが）
　クレメンタイン役は、ケイト・ウィンスレット。
　２人共、この役を演じるには、ちょっと年齢が上のように思いますが・・・難しい芝居を要求されるだけに、しっかりと芝居の出来る俳優が必要だった、と言う事なのかな。

　「マルコビッチの穴」と同様、カウフマン脚本は、人の脳の中、記憶の中へ観客を連れて行きます。
　デジタルデータを抹消するように、部分的に「削除」されていく記憶。
　その中を逃げまどうジョエルとクレメンタイン。
　そんな、悪夢のような現象を映像化してみせたイマジネーションには、感心しますが・・・肝心の物語は、いささか平板で、盛り上がりに欠けた感あり。
　恋愛のドキドキだけでなく、物語でもドキドキさせて欲しかったと思うのは贅沢でしょうか？

　（３月１９日　ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）

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