ハリー・ポッター
とアズカバンの囚人
水曜日、月末と言う事で仕事のキリがよく、ちょっと早めに帰れる事に。
じゃ、映画を観に行こう・・・と思ってＷＭＣ海老名に向かい、「ハリー・ポッター」シリーズ第３作、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を観て来ました。
第２作までのクリス・コロンバス監督から、アルフォンス・キュアロン監督へ選手交代しての第３作ですが・・・正直、期待をしていなかった、と言うのが事実。
なにせ、大人気の原作（それも、巻を重ねるごとに長くなる）を、映画と言う時間の制約のあるメディアながら忠実に再現しようとした前２作は、どうしてもダイジェストのように見えて仕方ありませんでした。
そんな内容に物足りなさを覚えていただけに、今回もそんなものかなぁ、と大して期待もせずに観始めたのですが・・・おお、かなり面白いじゃないか、今回のは。
前２作は、ハリーの過ごすホグワーツ魔法学校の１年を通して描いていたのだけど、それではひとつひとつのエピソードがブツ切りになって弱くなります。
それを打破するには、１年の中であるエピソードに焦点を絞っていくしかない、と思っていたのだけど、この３作目は、正にそうした作りになっています。
ハリーにとって憂鬱な夏休み。
叔父宅をトラブルの末に飛び出したハリーは、不吉なうわさ話を聞く。
殺人犯シリウス・ブラックが、不可能と言われたアズカバンの監獄からの脱獄を果たしたと言うのだ。
しかも、シリウス・ブラックは、ハリーの後を追って、ホグワーツに迫っていると言う・・・
今回の映画は、シリウス・ブラック脱獄事件の顛末を描いたもの。
もっとも、事件は夏休みに始まり、翌年春過ぎまでだから、結構なロングスパンではあるのですけど、やはり「１年を描く」のと「事件を描く」のではドラマの集中の度合いが違います。
もっとも、こうした作りにした結果、前作までの見せ場のひとつであった、クィディッチのシーンは大きく削られているし、事件に関わらない、魔法学校の日常描写も最小限に止められています。
こうした部分には抵抗のある人も多いだろうけど、３作目、と言う事で作品世界が出来上がっていますから、これは方法としてありでしょう。
実際、冒頭から最後まで１本通ったエピソードがあるだけで、前２作とは随分印象が違い、物語に求心力が出て来たように思います。
もっとも、物語としてはちょっと小さくなっちゃったかなぁ・・・
もっとも、方法としてはありでも、描写はかなり不器用。
シリウス・ブラック脱獄の狙いや、ルーピン先生の秘密、神出鬼没のハーマイオニーの授業掛け持ちのトリックなど、もう少し、伏線として有効に活かして欲しかった所。
この辺りを上手く活かすと、終盤で「そうだったのか！」と膝を打つような感じが出て、より一層、面白くなったと思うのですが・・・
１年半ぶりに出逢った主役３人は随分と成長しましたね。
ハリーはかなり逞しくなったし、ハーマイオニーはほんと綺麗になりました。
役よりも１歳上だったロンは背も伸びて、顔も変わっちゃったなぁ・・・
そんな３人には、段々と物語を引っ張る力強さも備わって来たように感じます。
脇を固める出演者も豪華です。
シリウス・ブラックにはゲイリー・オールドマン、ルーピン先生にはデビッド・シューリス。ちょい役の占いの先生にエマ・トンプソンですからね。
人気作故、カメオ出演的な部分はあるかも知れませんが、こうした所も見所のひとつだと思います。
物語は前２作と比べ、段々とダークになって来ました。
まぁ、ハリーが両親の死の真相に迫っていく、と言う物語の骨格からしてそうなのですけど、この物語、そもそも身分差別や人種差別と言う、人間の精神が生み出した暗黒面を盛り込んでおり、健全な子供向け作品とは言い難い部分があるのです。
（実家の身分が低いと馬鹿にされるロン、人間の血が混じっている、と差別されるハーマイオニー・・・）
まぁ、「魔法」などと言う、人間のダークサイドと切り離せないものを扱う故の問題点と言えばそうなのかも知れませんが・・・
大分、映画の雰囲気を変えた第３作。
次の「炎のゴブレット」は日本語版は上下２巻と更に長い。
次はまたしても監督変わりますけれど、はたしてどうなることやら。(^^;
（６月３０日 ＷＭＣ海老名にて）
（作品データ）
■監督
アルフォンソ・クアロン
■出演
ハリー・ポッター ・・・ ダニエル・ラドクリフ
ハーマイオニー・グレンジャー ・・・ エマ・ワトソン
ロン・ウィーズリー ・・・ ルパート・グリント
シリウス・ブラック ・・・ ゲイリー・オールドマン
（その他のキャスト）
トム・フェルトン ハリー・メリング ジュリー・クリスティ ロビー・コルトレーン
パム・フェリス マイケル・ガンボン リチャード・グリフィス ロバート・ハーディ
アラン・リックマン フィオナ・ショウ マギー・スミス ティモシー・スポール
デヴィッド・シューリス ジュリー・ウォルターズ マーク・ウィリアムス エマ・トンプソン
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僕らは、変わる。
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