「閉ざされた森」

　今日も例によって休日出勤。
　でもって、仕事終えた後、共に出勤していた同僚を駅まで送ってつきみ野へ・・・が、今日は、いつもよりも渋滞がヒドく、予定していた「座頭市」には間に合わず、そのまま帰るのもしゃくなので、予定外ではありましたが、この「閉ざされた森」を観る事に。

　これは、軍隊内で発生した殺人事件を題材にしたミステリー映画です。
　物語の舞台はパナマ。
　嵐の中、ジャングルに訓練に出た米陸軍のレンジャー部隊の７人が連絡を絶った。
　捜索に出たヘリコプターは、負傷する仲間を背負って森の中を逃げ回るひとりのレンジャー隊員を発見。彼は後ろから追ってくる別の隊員と銃撃戦をしていた。
　結局ヘリが救出できたのは逃げていた２人だけ。ひとりは救出された隊員に射殺されており、残る４人は行方不明のままだった。
　嵐のジャングルの中、一体、何が起きたのか？

　この映画も、よくある「羅生門」スタイルの物語。
　事件の発生後、その関係者の証言から事件の真実に迫ろうとするのだけど、その発言が食い違って・・・と言う、そのスタイルは、確かにミステリーとしては魅力的で、数多くの追従者を生みました。
　（「戦火の勇気」や、最近では「ＨＥＲＯ」もこれ）

　ただ、この映画、「事件」だけでなく、その背後に潜むものを巻き込み、しかも、それが更にもう一回り大きな計画の一環であった事が明らかにされていくのですが・・・その複雑な設定を、映画は上手く語っていないように思えました。
　これらが明らかにされる、物語の後半、説明不足もあって、どうにも上手く物語が転がっていかないように感じましたし、それ故に、ドンデン返しにあった時の、あの「やられた！」と言う感じが希薄なのです。
　（この物語の分かり難さは、元々、尋問シーンが多くを占める「羅生門」スタイルの映画故、それこそ言葉尻を捕まえて謎解きの糸口にする事が多い訳なのですが、字幕が最近評判の悪い戸田奈津子氏で、的確な翻訳が当てられなかった事に責任の一端があるのかも知れません）

　確かに、後になって考えれば、そのシナリオ自体は巧妙ですし、善玉とも悪玉とも判断のつかない、曲者役者のジョン・トラボルタを物語の牽引役に、そして、これまた悪役面のサミュエル・Ｌ・ジャクソンをキーマンに配したキャスティングも悪くない。
　（まぁ、そのキャスティング故に、「何かあるな」と思わせられるのですが(^^;）
　それなのに、このまとまりの悪さと、そこからどうしても出てしまう、チープさが何とも残念な映画です。

　また、細部の描写や演出（レンジャー隊員が名前を偽っている事に尋問官が全然気づかないとか、時間感覚のいい加減さとか）にリアリティを欠く場面があったのにも白けてしまいました。

　ペテン師は、入念に準備をし、そして、もっともらしい語り口で人をはめる。
　この映画、観客をペテンにかけようとする、そのアイデアと、仕込みまでは悪くなかったのだけど、その「語り口」でつまずいた、そんな詰めの甘さが目立ちます。

　（９月２０日　ＷＭＣつきみ野にて）

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