アナと雪の女王　２

　これは、２０１３年に世界中で大ヒットを記録し、日本では社会現象と呼べる程の人気となったディズニー・アニメ「アナと雪の女王」の続編。
　アナの声をクリステン・ベル、エルサの声をイディナ・メンゼルが続投。監督もクリス・バックとジェニファー・リーが前作から引き続き務めます。
　
　北方の王国、アレンデール。アナによって閉ざされた心を開き、全てを凍らせる力を抑える事が出来るようになったエルサは、アレンデールに暖かな日差しを取り戻した――それから３年、エルサとアナの姉妹は、幸せな日々を過ごしていたが、エルサにしか聞こえない不思議な“歌声”によって、姉妹は未知なる世界へと導かれてゆく。
　それは、エルサの出生と、その力を与えられた謎を解き明かす旅の始まりだった……

　この映画、大ヒットのディズニー映画の続編としてはさすがに上手くまとまっています。キャラクターは既に固まっているので、物語は更に深く掘り下げられ、本作ではダムに象徴される自然破壊や、先住民族との衝突と言う、現在社会の問題を盛り込み、社会派の側面も見せるなど、いささかやり過ぎに思えるほど。
　前作も見事な音楽と映像のファンタジーで観客を魅了しましたが、本作ではそれを更に進化させ、「ディリリとパリの時間旅行」や「空の青さを知る人よ」が実写映像を取り込んでアニメの背景としていましたが、こちらは正に実写と見紛うばかりの美しくも見事な世界を、ＣＧだけで構築して見せるのです。クライマックスとなるスペクタクルシーンも大迫力で、襲い来る災厄をひとり立ち向って食い止めるエルサの活躍を痛快なものとしています。

　ただ、気になった、と言うか惜しいのは、ディズニー映画らしくミュージカル仕立てのこの映画で、そのミュージカルシーンが不思議と印象に残らないのです……ミュージカルシーン自体は、前作より増量と言っていいくらいなのですが。
　前作では、「レット・イット・ゴ−」が、ディズニー映画屈指の素晴らしい出来で、それを丸ごと予告編に使うと言う大胆な宣伝に思わず本編を観たい、と思わせた――本編にあれ以上のシーンがないのはご愛敬――のですが、本作はどうにも……
　確かに、主となる「イントゥ・ザ・アンノウン」はいい歌だと思いますが、これが最近のディズニー映画にありがちな難しい歌で、「レット・イット・ゴ−」のように共に歌えるような感じも、突き抜けるような開放感もなく、何とも……
　物語自体は前作よりも面白く、最後のスペクタクルシーンもあって、映画としても盛り上がりはするのですが……大ヒット作の続編と言う事で、ちょっと力が入り過ぎたのでしょうか？十八番のミュージカルシーンが映画の足を引っ張っているようにさえ思えてしまいました。
　

　（２０２０年　１１月２４日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

クリス・バック　　ジェニファー・リー

　■出演

アナ　・・・　クリステン・ベル
エルサ　・・・　イディナ・メンゼル

クリストフ　・・・　ジョナサン・グロフ

オラフ　・・・　ジョシュ・ギャッド

　■コピー

なぜ、エルサに力は与えられたのか――。

　■Ｌｉｎｋ

https://www.disney.co.jp/movie/anayuki2.html

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