最高の人生の
　見つけ方

　これは、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンのＷ主演の２００７年の同題映画を、吉永小百合と天海祐希でリメイクしたヒューマンドラマ。
　監督は「のぼうの城」の犬童一心。

　人生のすべてを家庭に捧げて来た平凡な主婦の幸枝と、人生のすべてを仕事に捧げてきたホテルチェーンの女社長のマ子。末期がんの宣告を受けた２人は、ひょんなことから同じ病院の2人部屋に入院することになる。
　ある日、幸枝は病院で出会った１２歳の少女が落とした“死ぬまでにやりたいことリスト”を書いたノートを手にする。数日後、少女の病室を突き止めてノートを返しに行ったのだが、病室は空――２人は、少女の代わりに、そして、自分の残りの人生のためにリストを実行に移す事にするが……

　余命僅かな老人の暴走気味な「やり残し」を描き、最後にハートウォーミングなエピソードで締めくくる、と言う構成は同じながら、それを日本でやるとどうしてこうもダサく、湿っぽくなってしまうのでしょうか？こう言う内容だからこそ、カラっと笑い飛ばすべきなのに……
　確かに、主人公を女性にする、と言うアイデアはよく、前半については、吉永小百合にドタバタギャグを演じさせるなど悪くない滑り出しを見せますし、主演２人よりも、ひとりコメディ担当で頑張るムロツヨシと、凛とした存在感を放つ満島ひかりもがんばりを見せるのだけど、後半はぐだぐだ。
　世界中を飛び回ったハリウッド版に対し、スカイダイビングのシーンなど、国内ロケを海外だと言い張るチープさも気になりましたし、最後の家族の和解など、どうしようもない陳腐。２人の旅のきっかけを作った少女が死んでいなかった、と判る、とってつけたようなエピソードも含め、いい話、感動出来る人情話に持ち込もうとするのには正直、脱力……

　吉永小百合主演映画だけに、吉永小百合をヒロインとして描くのは勿論で、彼女のファンには嬉しい映画かも知れませんが、そもそも、私は吉永小百合の演技が好きではなく、本作も見送りのつもりだったのですが……やはり本作もダメでした。
　

　（２０１９年　１０月２２日　品川プリンスシネマにて）

（作品データ）

　■監督

犬童一心

　■出演

北原幸枝　・・・　吉永小百合

剛田マ子　・・・　天海祐希

（その他のキャスト）
　満島ひかり　　前川清　　ムロツヨシ　　鈴木梨央　　駒木根隆介　　賀来賢人
　ももいろクローバーＺ

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