見えない
目撃者
これは、韓国映画「ＢＬＩＮＤ」、それを中国でリメイクした中韓合作映画「見えない目撃者」の日本版リメイクとなるサスペンス。
監督は、「リトル・フォレスト」２部作の森淳一。主演は吉岡里帆。
それにしても、原案が韓国映画だと言う事を表に出さず、エンドクレジットでも、そこだけ不自然に英文にして韓国映画と判り難くすると言うのは……確かにエンターテイメントでも中国・韓国作品が忌避される世情であるとは言え、そこまでする必要があるのでしょうか？
浜中なつめは、警察学校卒業の夜、過失により弟を亡くす事故を起こし、自身も視力を失ってしまう。
警察官の道を諦めたなつめは、３年経った今でも弟の死を乗り越えられずにいた。
そんなある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める少女の声を聞き、誘拐を疑って事件を追っていくのだが……
映画は、オリジナルのアイデアを活かし、それを上手くアレンジした感じです。物語は、重層的な構造を見せ、早々に犯人が見えていたオリジナルに対し、正体を引っ張ってミステリーの要素も高めました。また、死体や人体損壊シーンを避けない、まるで韓国映画のようなグロ描写は拡大公開される日本映画としては珍しいものでしょう。
ヒロインのなつめが盲目の元警官、と言う設定を活かしたクライマックスの暗闇での一騎打ちは手に汗握るもので、これは力作、と言っていいと思います。
ただ、捜査に当たる刑事が、元警官とは言え一般市民であるなつめに捜査情報を垂れ流す、無理な設定や、登場人物が自発的に危機的状況に飛び込んで行くように見える強引な展開などは気になる部分で、こうした所が自然に見えるように作り込んでくれればもっと印象はよくなったように思うのですが。
なつめ役の吉岡里帆は、ほぼすっぴん晒して頑張っています。
刑事役の大倉孝二がクライマックス前、「警察が正義の味方だと言う事を見せてやる」と珍しく格好いい所を見せるのですが、これはどう見ても死亡フラグ。後の展開の予測がついてしまったのは気の毒でした。
ＰＳ
この映画、舞台が横浜で、ロケ地には見覚えがある所も多いのですが、地下鉄の駅に見覚えがないと思ったら駅・電車内のシーンは京成電鉄で撮影していました……地元だけにそんな細かな所が気になってしまいました。
（２０１９年 ９月２５日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
森淳一
■出演
浜中なつめ ・・・ 吉岡里帆
国崎春馬 ・・・ 高杉真宙
吉野直樹 ・・・ 大倉孝二
（その他のキャスト）
浅香航大 酒向芳 松大航也 國村隼 渡辺大知 栁俊太郎 松田美由紀 田口トモロヲ
■コピー
絶対に、取りもどす。
■Ｌｉｎｋ
http://www.mienaimokugekisha.jp/
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