見えない目撃者
これは、韓国映画「ブラインド」をアン・サンフン自らが監督して中国でリメイクしたサスペンス映画。
盲目のヒロインをヤン・ミーが演じ、目撃者となる青年を韓流アイドルグループ、ＥＸＯの元メンバーのルハンが演じています。このルハン人気を見込んでの日本上映となりましたが、客の入りはいささか寂しいものでした。
３年前の事故で視力を失った元警察学校生のル・シャオシンは、ある雨の夜、タクシーに乗っていて事故に遭遇する。
女性の悲鳴を聞いたシャオシンは思わず車外に飛び出すが、運転手は「犬を轢いた」と言う。不審に思ったシャオシンが問い質すのを振り払い、タクシーは現場から逃走してしまう。
警察は、このひき逃げ事故と、最近、世間を騒がせている女子大生失踪事件に関連があるものと睨んで捜査を開始。
そこへ、「事故を目撃した」と言う若者、リン・チュンが現れて……
オリジナルの「ブラインド」は未見なのですが、タイトルにもなっている「見えない目撃者」と言うアイデアは非常に面白い、と思いました。
ヒロインは見えない、と言うハンディキャップはあれど、警察官としての訓練経験があり、視覚以外の感覚を駆使して手がかりを集めると共に、捕縛術のスキルもあるので、掴んでしまえば大の男でも投げ倒し、押さえ込む事が出来るのです。
また、現代を舞台にするだけにハイテク機器を活用、中盤の携帯のカメラ機能を使って遠隔操作でリン・チュンがシャオシンの“目”となって逃げるシチュエイションや、クライマックス、建物の電源を落として暗闇に潜んで対峙するなどの工夫は面白く見られました。
その一方で、物語は彼方此方に綻びがあって、正直破綻気味。
シャオシンの弟のバンドが死後数年後に追悼コンサートが開かれる程の人気には見えない冒頭の展開に始まり、シャオシンの失明と弟の死に至る事故の状況は不自然極まりなく、犯行の動機とその全貌が明かになるのが、クライマックスの展開と噛み合って来ないと言うストーリー展開もいささか残念。
また、クライマックスのアクションで、折角の設定を活かし切れていないのも勿体ない。
アイデアはいいし、主人公を活躍させる為に警察を無能に描くと言う事がなく、“引き立て役”を作らない辺りにも好感が持てるだけに、物語さえきちんとしてくれたら、と思ってしまいました。
（２０１６年 ４月 ３日 ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
アン・サンフン
■出演
ル・シャオミン ・・・ ヤン・ミー
リン・チュン ・・・ ルハン
（その他のキャスト）
ワン・ジンチュン チュー・ヤーウェン
■コピー
一つの事件に交錯する二つの証言
■Ｌｉｎｋ
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