アイアン・スカイ
＝ 第三帝国の逆襲 ＝

　これは、２０１２年に公開され、月面の秘密基地に潜伏していたナチスの残党が地球侵略を目論む、と言う内容が話題となったＳＦコメディ「アイアン・スカイ」の続編。

　２０１８年、月からのナチス侵略に勝利した人類だったが、その後、内輪揉めの全面核戦争で地球は壊滅。辛うじて生き残った人類はナチスが建設していた月面基地で生き延びていた――だが、それから３０年を経過した基地では、エネルギーが枯渇し、人類絶滅の危機に瀕していた。
　そんなある日、地球から逃げ延びて来たロシア人の宇宙船に密航して、死んだはずの月面ナチス総統ウォルフガング・コーツフライシュが月基地に潜入する。人類の指導者であるレネの娘、オビに捕らわれたコーツフライシュは、人類を救う手段がある事を打ち明けるが……

　この２作目ですが、さすがにアイデア勝負の前作に比べれば、そのインパクトは薄れたものの、ブラックコメディと言うか、タブーすれすれの悪ふざけは健在。
　今回は、地球空洞説に、爬虫類型異星人・レプティリアンと、オカルティストにはお馴染みのネタを盛り込み、ヒトラーは勿論、ジンギスカンからスターリン、米大統領にザッカーバークまでもがレプティリアンで、人類を支配していた、と風呂敷を広げて行きます。
　また、生き延びた人類の中で、支配層となるのがジョブス教の信者だとかを始め、辛辣なパロディも満載です。

　キャストは日本では馴染のない俳優が多いのですが、怪優、ウド・キアは続投。意外だったのは前作のヒロイン、レネを演じていたユリア・ディーツェが老けメイクをして３０年後のレネを演じる事ですが……これには思わぬ仕掛けがありました。　

　映画としてはＢ級で、予算規模も小さい中でＶＦＸはなかなか頑張ってはいるものの、さすがに大スペクタクルは描けず、アクションシーンも意外とあっさりしたもの。それをギャグで補い、決して安っぽく見せていないセンスも見物です。
　また、前作で地球をあっさり壊滅させたのに続き、今回も地下空洞世界を壊滅させ、数億年を生き延びて来たレプティリアンも全滅させてしまうなど、世界の破滅を躊躇しない展開も相変わらずです。
　そして、最後の最後には、あの国もが亡命秘密基地を設けていたと言うのにはウケました――なるほど、赤い星か――しかし、これでさすがに第三弾はないと思うのですが……　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ティモ・ヴオレンソラ

　■出演

オビ　・・・　ララ・ロッシ

レネ　・・・　ユリア・ディーツェ

ウォルフガング・コーツフライシュ　・・・　ウド・キア

（その他のキャスト）
　ウラジミール・ブルラコフ　　キット・デイル　　ステファニー・ポール　　トム・グリーン

　■コピー

ナチスが恐竜に乗って攻めて来たッ!!

　■Ｌｉｎｋ

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