ハッピー・デス・デイ　２Ｕ

　これは、タイムループホラー「ハッピー・デス・デイ」の続編。

　誕生日のループから抜け出し、ツリーは新しい朝を恋人のカーターで迎えた。一方、カーターのルームメイトで物理学専攻のライアンは、またしても車の中で朝を迎えた。部屋ではカーターがツリーとイチャついており、そのまま研究室に顔を出したライアンは、学部長から、取り組んでいた時空を操作し、異次元への扉を開く研究の中止を言い渡されてしまう。
　そんなライアンにベビーマスクの殺人鬼が忍び寄り、殺害。ライアンが我に返ると、朝を迎えた車の中で……

　監督は前作と同じくクリストファー・ランドン。前作では、脚本のスコット・ロブデルが巧みな構成を見せましたが、本作では脚本もクリストファー・ランドンが手掛けた為、映画は大分表情を変えています。
　ホラー的な演出は、冒頭のライアンに迫るベビーフェイスのシーンくらいで、前作では、「そういうもの」と説明抜きで突っ走ったタイムループの原因を描き、それを科学的に解決しようとなって、既にホラーではなく、ＳＦサスペンスと言う趣となっています。
　ただ、ＳＦとして見てしまうと、物語は粗く、つじつまの合わない所も散見されますし、繋がってしまったパラレルワールドが引き起こす問題についても、上手く物語に活かせていないもどかしさを感じます。

　また、前作後半では綺麗になっていたツリーが、今回少しお疲れのようで、やや老け込んで見えたのも残念な所。

　それでも面白さは前作譲りで、なかなか。前作で１１回も死んで、すっかり死を恐れなくなったツリーがリセットをする為に、あれやこれやの手法で自殺を図るのをコミカルに見せる、度を越し気味とも思えるブラックジョークに、死んだツリーの母親が、パラレルワールドの別世界では生きているなど、周りの人間模様が少しずつ変わっており、どちらの世界で生きて行くのかを悩む中で、人生についての指針と考察を示すなど、決してＢ級娯楽作と思えない、しっかりとしたテーマをドラマの中で描いて見せるのも好印象。
　やや理屈っぽくなった分、はっちゃけた面白さは薄れましたが、ホラーではなくなった事もあって、これはこれで楽しめました。
　エピローグでは、ダニエルへのしっぺ返しを仕掛ける中で、続編に含みを持たせたようなシーンもありましたが……ＳＦとしては考証に弱さもあるので、この辺りがいい区切りではないでしょうか。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

クリストファー・ランドン

　■出演

ツリー・ゲルブマン　・・・　ジェシカ・ロース

カーター・デイビス　・・・　イズラエル・ブルサード

ライアン・ファン　・・・　ファイ・ヴ

ダニエル・ボーズマン　・・・　レイチェル・マシューズ

ロリ・シュペングラー　・・・　ルビー・モディーン

（その他のキャスト）
　ジェイソン・ベイル　　ミシー・イェーガー　　スラージ・シャルマ　　スティーブ・ジシス

　■コピー

死ねるだけ　死ねばいい

　■Ｌｉｎｋ

https://www.universalpictures.jp/micro/happydeathday

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