| ＢＡＢＹ |
| ＤＲＩＶＥＲ |
| ベイビー・ドライバー |
これは、「ホット・ファズ」のエドガー・ライト監督のハリウッド本格進出第一弾となる映画。
天才的なドライビングテクニックを持つ青年”ベイビー”。彼は、幼い頃に遭った事故の後遺症である耳鳴りに悩まされていた。それを音楽が打ち消して抜群の集中力を生み、その能力を発揮させるのだ。
彼は”ドク”と呼ばれる犯罪組織ボスに借りがあり、組織が手掛ける”仕事”後に実行犯の逃走を手助けする”逃がし屋”のドライバーとして働いていた。
ある日、彼はダイナーで働くウェイトレスの少女、デボラに出会い、一目で恋に落ちて……
主人公“ベイビー”を演じるのは「ダイバージェント」シリーズのアンセル・エルゴート。デボラには「シンデレラ」のリリー・ジェームズで、正に“掃きだめに鶴”の存在感。
この若手２人の脇を固めるキャストは豪華で、無表情なボス、“ドク”にはケヴィン・スペイシー、トラブルメーカーなサイコな犯罪者、バッツにはジェイミー・フォックスと実力派を配置。
また、ビッチなサブヒロインを演じたエイザ・ゴンザレスも魅力的です。
この映画、「カーアクション版の『ラ・ラ・ランド』」とも言われますが、これはもう、ミュージカル映画、と言ってよいのではないか、と思います。
ただし、ミュージカル映画と言っても歌って踊る訳ではなく、音楽に合わせて振り付けられているのはカーアクションで、ビートを刻むのは銃弾。フィナーレには花火の代わりに爆発・炎上が華を添える、と言うもの。
’７０年代のアクション映画に影響を受けた、と言うエドガー・ライト監督の演出は古典的で、きちんとカット割して見せるものは見せ、観客の動体視力を試すような真似はしていません。それでも、音楽に乗せて、アクションを振り付けるように演出し、見せて行くと言うのは新鮮で、正に新世代のアクションエンターテイメントを言った趣があります。
勿論、そんな見せ方だけでなく、アクション自体は一級品。現在の映画ならブルーバックの特撮でやってしまいそうな派手なシーンをリアルにやっていますし、様々なクルマを用い、シチュエイションごとに、見せ場を変えているのもいい。そして、クライムサスペンスとしても上等で、緩急つけながらサスペンスフルに盛り上げ、最後まで緊張の糸を緩めずに突っ走るのです。
また、青春もの、恋愛ものとしてもよい出来で、主人公の“ベイビー”が、後ろめたい過去を清算し、あらためて人生を歩み出す、エンディングには爽やかな感動がありました。
これは傑作、この夏、ここまで一番の映画です。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
エドガー・ライト
■出演
“ベイビー” ・・・ アンセル・エルゴート
デボラ ・・・ リリー・ジェームズ
“ドク” ・・・ ケヴィン・スペイシー
“バッツ” ・・・ ジェイミー・フォックス
“バディ” ・・・ ジョン・ハム
“ダーリン” ・・・ エイザ・ゴンザレス
（その他のキャスト）
ジョン・バーンサル ＣＪ・ジョーンズ フリー スカイ・フェレイラ ラニー・ジューン ビッグ・ボーイ キラー・マイク
ポール・ウィリアムズ ウォルター・ヒル
■コピー
ＭＵＳＩＣ ＯＮ，ＧＥＴ ＭＯＮＥＹ．
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