| お嬢さん |
これは、サラ・ウォーターズのミステリー「荊の城」を「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が映画化したもの。
原作小説では、ヴィクトリア時代のロンドンが舞台だったのを、戦前の日本統治下にある朝鮮にした事と、エロティックな描写をふんだんに盛り込んだ耽美的な内容が話題となって、日本でも劇場公開される事になりました。
１９３９年、日本統治下の朝鮮。貧民街でスリとして育てられた孤児の少女スッキ。彼女は、"藤原伯爵"を名乗って華族の令嬢・秀子と結婚し財産を奪おうと企む詐欺師の手先として、秀子が暮らす屋敷に待女として入り込む。優秀なスッキは、首尾よく秀子のお気に入りとなり、やがて、その寵愛を受けるようになるが……
この物語、基本的にはミステリーの様式ととりながら、財産乗っ取りを企むコンゲーム的なクライムサスペンスでもあり、男の変態的な性欲に虐げられる女の物語でもあり、ある種の復讐譚でもあります。その様々に表情を変える物語を、時間軸と語り手を変えて三部に分けて描く、「羅生門」的な構成となっています。この構成だと、繰り返し描写によるマンネリ感が出たりもしますが、この映画、各部それぞれに驚きの展開が仕組まれ、二転三転する物語は最後まで飽きさせません。
映画の見せ場となっているエロティックシーンですが、これは日本でもＲ１８となってしまう内容で、なるほど、これは韓国公開時に話題となったと言うのにも納得です。
激しいと言うより、レズビアンシーンが序の口、と言う変態的なものを多く含みながら、最後には女たちの強烈なしっぺ返しにより溜飲を下げるようなものとなっていて、不快感を残さないような仕掛けになっているのも巧妙なものと感心しました。
気になったのは、韓国人俳優の日本語台詞で、流暢に喋れるまでにしているのは大したものではあるのだけど、やはり日本人が聞くとネイティブの発音ではありません。
日本人俳優が韓国映画に多数出演が望めないのであれば、日本人役の台詞だけでも、日本版では吹き替えて欲しかった所です。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
パク・チャヌク
■出演
秀子 ・・・ キム・ミニ
スッキ ・・・ キム・テリ
藤原伯爵（詐欺師） ・・・ ハ・ジョンウ
（その他のキャスト）
チョ・ジヌン キム・ヘスク ムン・ソリ
■コピー
幕が上がったら最後、あなたはもう、極限の騙し合いから逃げられない――
■Ｌｉｎｋ
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