ＡＮＴＩＰＯＲＮＯ
これは、日活ロマンポルノ生誕４５周年を記念したロマンポルノ・リブートプロジェクトのうちの１作。
本作の監督は園子温。主演は元ＡＫＢ４８で、「映画 みんな！エスパーだよ！」にも出演していた富手麻妙。
時代の寵児となった若きアーティストの京子。極彩色の部屋で目覚めた彼女の元に、マネージャーの典子がやって来る。典子の伝える分刻みのスケジュールを聞き、この日の仕事の雑誌社のインタビューを受けるのだが……
京子を演じる富手麻妙は、妙に肉感的な下半身がエロいのですが、めりはりのない体型であまり魅力的ではありません。ただ、後半で見せるセーラー服姿ではなかなかの美少女っぷりを見せ、そのギャップにそそられます――まぁ、その辺りが起用の理由でしょうか。
また、典子役の筒井真理子の演技の幅も印象的でした。
先日観た「新宿スワン ＩＩ」では、園子温らしからぬ量産商業映画っぷりに疑問を覚えましたが、本作は、よくも悪くも園子温らしい映画。
極彩色の舞台に、アングラ舞台劇っぽい演出、剥き出しの悪意と暴力――でも、エロスは抑えめ。確かに女の裸はふんだんに映し出されてはいるものの、「１０分に一度カラミを入れれば後は自由」と言うロマンポルノの枠組みを守っていない、と言う辺りは、その反骨精神をむしろ園子温らしい、と見るべきでしょうか。
映画は途中で、京子を主人公に描く映画撮影、と言う展開となり、メタフィクション的な様相を見せると共に、京子と典子のキャラクターが反転。その後、現実からシームレスに繋がる回想シーンを入れ、現実と架空、そして虚構が混沌とした世界を描いて行きますが……これを意欲的な描写と見るか、独りよがりな映像表現と見るか――少なくとも「ロマンポルノ」の枠組みの中では後者と見られても仕方ないように思います。
この映画、はっきり言えばエロくもないし、ヌケもしない。そんなポルノを誰が観る？と言う感じで、園子温らしさは感じるのですが、これがロマンポルノだと言う事には疑問を覚えました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
園子温
■出演
京子 ・・・ 富手麻妙
典子 ・・・ 筒井真理子
（その他のキャスト）
不二子 小谷早弥花 吉牟田眞奈 麻美 下村愛 福田愛美 貴山侑哉
長谷川大 池田ひらり 沙紀 小橋秀行 河屋秀俊 板東工 内野智
■コピー
処女なのに売女 自由なのに奴隷
憂鬱すぎる日曜日
■Ｌｉｎｋ
［戻る］