これは、若松公徳の同題コミックを、最近、公開作の相次ぐ園子温監督が映画化したもの。

　東三河に住む平凡な高校生、鴨川嘉郎は、ある日、自分に超能力があることに気付く。周囲の人たちの心を読む事が出来るのだ。だが、そんな超能力を得たのは嘉郎だけではなく、東三河では他にも超能力を得た者たちがいた。
　超能力研究者の浅見教授によれば、この超能力は、稀に降り注ぐ宇宙からの怪光線を３つの条件で浴びた場合にのみ身に付くのだという。性体験がないこと（童貞か処女）、エクスタシー状態にあったこと（オナニー中）、そして自分の能力を自覚していることだ。
　そして、彼らの知らぬうちに、東三河には重大な危機が迫っていた！

　この物語は、２０１３年にＴＶドラマが製作されているのですが、この映画、日本映画としては珍しくＴＶドラマをリブートしたもの。ＴＶドラマ版とほぼ同じスタッフ・キャストのまま、一部キャストを変更して仕切り直しをしています。その為、ＴＶ版を観ていなくとも問題ないだろうと思って劇場に足を運びました。
　その内容ですが、これがなんとも微妙な仕上がり。
　ＴＶドラマは未見なのですが、低予算の深夜枠ドラマと言う状況を逆手に取って、ユルいギャグと主演女優の夏帆のパンチラをウリにしていたそうで……この映画は、その内容そのまま、映画版と言う事でスケールアップした予算のほとんどを女性キャスト（と、その数）に注ぎ込む、と言う明後日の方向に突っ走っています。
　主演の美由紀役を夏帆から交代したのは、“自撮りの女王”と呼ばれるグラビアアイドルの池田エライザですが、その他にも篠崎愛ら人気のグラビアアイドルを大量に揃え、フェティッシュな嗜好などすっ飛ばし、中高生男子レベルのストレートな欲望をそのまま現実と化したような単純なエロの“量”で圧倒する、と言うやり方。（まぁ、これはこれで目の保養にはなりますが）
　美由紀が下着姿で悶えるシーンに始まり、パンチラ、パンモロ、ブラチラに下着姿の女性がわんさか……と言う、そのビジュアルは、深夜放送的と言うか着エロＤＶＤと言うか動く週刊誌グラビアと言うか……レイティングを配慮してポロリはないのですが、ここまでやるならＰＧ１２のレイティングをＲ１５にして、ＴＶでは出来ないポロリをやって見せればよいのに、と思うくらい。（さすがにこれを親と観に行く小中学生もいないでしょう）
　拍子抜けする程に盛り上がらないクライマックスを含め、拡大公開される映画でこれをやってしまうのは、さすが園子温と言う所ですが……さすがに、６月から「新宿スワン」、「ラブ＆ピース」、「リアル鬼ごっこ」と続いて本作、と微妙な出来の映画が続くと、さすがに「粗製濫造」と言う評も出て来そうな感じです。
　　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

園子温　

　■出演

　鴨川嘉郎　・・・　染谷将太

　平野美由紀　・・・　池田エライザ
　浅見紗英　　 ・・・　真野恵里菜

（その他のキャスト）
　マキタスポーツ　　安田顕　　深水元基　　柾木玲弥　　神楽坂恵　　高橋メアリージュン
　冨手麻妙　　サヘル・ローズ　　今野杏南　　星名美津紀　　篠崎愛　　清水あいり　
　星名利華　　板野友美　　関根勤

　■コピー

この夏、童貞が（恋をして）　世界を救う。　

　■Ｌｉｎｋ

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