ネクター
ＮＥＣＴＡＲ

　これは、「エヴォリューション」のルシール・アザリロヴィック監督による蜜蜂をモチーフとした短編。

　豪華なベッドに横たわる女。彼女に傅く侍女らは花の世話をし、その花を食事として捧げる。やがて、彼女の体からは甘い蜜が流れ出し……

　この映画、１８分の短編で台詞もナレーションも一切なし、映像だけで語る種類の映画です。
　蜜蜂を人間に投影して描いた、その世界観、そして映像は印象的で、映像詩としての魅力は感じます。
　“女王”に相当する女性がちょっと年増なのが映像的にどうか、と思いましたが、これは映画のテーマからして妥当な所、と言うのは最後まで観ると納得です。

　物足りなかったのは、映画中にあれだけ性的なイメージを盛り込みながら、性行為の目的である世代を繋ぐ、と言う事を描いていなかった事。
　年老いて力をなくして行く、と言う事は世代交代を伴う、と言う生命の連鎖を描いていればより深い印象を与えるものになったと思うのですが……

　（２０１６年　１１月３０日　シネマジャック＆ベティにて、「エヴォリューション」と同時上映）

（作品データ）

　■監督・脚本

ルシール・アザリロヴィック　　

　■出演

オルガ・リャザーノフ　　ブリジット・ロシエロ　　カンタン・ブリュッシュー　

　■コピー

待ちわびるのは女王の降臨　

　■Ｌｉｎｋ

http://www.uplink.co.jp/evolution/nectar.php　

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