ＳＣＯＯＰ！
これは「モテキ」や「バクマン。」の大根仁監督が、原田眞人監督の映画「盗写１／２５０秒」を福山雅治主演でリメイクしたもの。
かつては凄腕で知られていたカメラマンの都城静は、今や芸能スキャンダルを追いかけるフリーのパパラッチ稼業で自堕落な生活を送っていた。
ある日、ひょんなきっかけで都城は古巣の写真週刊誌「ＳＣＯＯＰ！」の新人記者の行川野火とコンビを組まされる事になってしまう。
ふたりは反発しながらも、次々にスクープを連発して……
映画は都城のカーセックスシーンに始まります。
この都城と言う男、風俗好き、おっぱい好き、口を開けば下ネタばかり、と言うエロ中年なのですが、福山雅治は、一見、イメージと異なるこの役を実に活き活きとやっています――実際、下ネタの一部は福山雅治のアドリブで、大根仁監督を「あんな言い回しは思いつかない」と嘆かせたのだとか。
もっとも、気合いが過剰に入っていたのでしょうか、冒頭暫くはちょっと違和感と言うかキャラを作り過ぎている感もありましたが……
その都城と凸凹コンビを組む、野火を演じるのは二階堂ふみで、こちらもなかなかのハマり役。なにしろ、不機嫌な顔を作らせたら最近の若手女優で彼女の右に出る者はない、と思う程で「マジ、最低ですね、この仕事」と吐き捨てる悪態が実に様になります。その悪態が「最高ですね」に変わって行くのもまたいい。
ただ、終盤のベットシーンはちょっと残念。大根仁監督は、二階堂ふみのこれまででベストと言える美しくも官能的な表情を捉えており、しかも相手が福山雅治。ここは二階堂ふみ、全部脱いで欲しかったよなぁ……
その他の脇を固めるキャストも実力派揃いで隙がなく……と言うよりも、福山雅治が霞んでしまう程の存在感を見せています。
中でも、リリー・フランキーは実に見事なものでした。
大根仁監督らしい、リアリティのある描写や、盛り込まれたトリビア的な知識も楽しいし、中盤の疾走感を生むテンポのよさも好印象。
残念だったのは、都城とチャラ源との因縁が描かれず、終盤の展開に説得力を欠いた感があった事。この辺に、もっと“男のドラマ”があるとよかったなぁ、と思ってしまいました。
映画は下品で騒々しく始まり、やがて中年男の哀愁を描いて行きます。
戦場カメラマンに憧れ、漠然となりたいものになれる、と思っていた少年の心のまま、気がつけば何処にも行き場をなくしてしまった男の生涯を……
そんな男が、遂に出会った修羅場（＝戦場）での運命には皮肉さを感じました。
（２０１６年 １０月５日 横浜・ムービルにて）
（作品データ）
■監督
大根仁
■出演
都城静 ・・・ 福山雅治
行川野火 ・・・ 二階堂ふみ
チャラ源 ・・・ リリー・フランキー
（その他のキャスト）
吉田羊 滝藤賢一 斎藤工 塚本晋也 中村育二 石川恋 澤口奨弥 山地まり
鈴之助 護あさな 沖田杏梨 阿部亮平 寿るい 久保田悠来 宮嶋茂樹 星野あかり
めぐり 真木今日子 涼川絢音
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ごめん。馬鹿で悪かったな。
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